▽ ページ13
『…ブランコ、漕げなくなってたらどうしようって思ってた』
「……ブランコの漕ぎ方も忘れるぐらい引きずってんだな」
『もう、思い出させないでよ』
「そんな事言っても、ずっと頭の片隅にでも居んだろ。」
ギィ、ギイと
あの頃は鳴らなかったような音をさせながらも、足を一生懸命伸ばして漕ぐ
ブランコは時間をかけて錆びたのに、そんなこと言われて言い返せない私は
一瞬にして雨に打たれて、酸化されてすぐ錆びくたばるんだ。
『…あのさ』
「……うん」
久々に晴れた空は私の目に染みて
逆に向かう太陽に対抗して、空まで届いてやるって高く足を上げるけど
そんなんじゃ気は紛れないし、話始めるような人間の勢いじゃなかったから。
足を地面に引きずってから、ずん、と立ち止まった。
『……頼み事なんだけど、
金曜日の夜って、空いてる？』
「……なんでそんなこと頼むのか、理由によって変わるな」
『、、』
「、空いてるよ。空いてるけど。何」
こうしてお菓子を買って、他愛のない話をしてるだけでも忘れられるけれど
やっぱり遮るあの人は、ひとりじゃ消しきれないから
最後の迷惑だと思って、頼ってもいいかな。
本当はね、結局は話を聞いて頷いてくれるジフンを、分かってて利用してるみたいで嫌なんだよ。
『……金曜日の夜、何時でもいいから 電話かけてきてくれない、？
ジフンが暇な時でいいからさ、…無理なら大丈夫』
目を合わせてそう言うと、相変わらず棒を咥えながら目線を下に落とした。
.
.
「…金曜、バイト入ってるから遅くなるかもだけど」
するとこっちを見てくれないまま、少し声を大きくしてそう言われた。
……予定、あるじゃん。空いてないじゃんか。
『……いいの？忙しいなら、』
「いや、……遅くなっていいのか聞いてる」
『…うん、全然大丈夫。……ありがとう』
その顔が、怒ってるのか、めんどくさいと思ってるのか
負担だと感じてるのか、私には見えないけれど
そんな時でも私の様子を伺うジフンは、温かくて心が締め付けられる。
『、ごめんね。 色々』
……もう、迷惑かけないようにするから
バネになる今だけでも、力になって欲しい。
「……なんも言うな。」
その優しさに甘えてごめんね。
ジフンを振り回して、ごめんね。
「ついでに実家寄ろうと思ってるけど、来るか？」
『……え、行きたい…！』
「じゃ、そろそろ行こ」
ずっと、迷惑かけてごめんね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 755人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月紗?(プロフ) - fuyu0526さん、ありがとうございます😿 すごく嬉しいです😢💞次の作品まで……😭🤦♀️もうフルスピードで修正終わらせます。 主様もどうかお身体にはお気を付けてください。そして……お鼻交換してください… (2023年4月15日 11時) (
レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - ここここさん、ありがとうございます😭そんな有難いお言葉を聞けるような作品を作れる人間に、少しでもなれた事が本当に嬉しいです。😿これからも温かく見守って下さる皆様の為に頑張ります💪ご拝読して下さりありがとうございました。 (2023年4月15日 11時) (レス) @page46 id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
ここここ(プロフ) - 完結おめでとうございます！ いつも楽しみに読ませていただきました ここまで夢中になったお話は初めてで、何回も読み直してしまいました笑 主様の言葉選びや物語の進め方がすごく好きです！ これからも応援させていただきます！ 素敵なお話をありがとうございました (2023年4月14日 23時) (レス) @page46 id: 4b95013bd6 (このIDを非表示/違反報告)
fuyu0526(プロフ) - いつも更新楽しみにしていました。完結，おめでとうございます。次の作品も必ず読ませていただきます‼︎これからもお身体に気をつけてお過ごしください。P.S.私は花粉症ではありません。 (2023年4月14日 23時) (レス) @page46 id: 841865627b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月紗? | 作成日時：2023年1月14日 14時
