初夏が似合わない君の季節月［WN］2

夏は終わっても ページ49

『こんな始業式無くして今日までにして欲しかったなあ、夏休み。』

「逆に今日まででもする事ないんじゃない？」

『……確かにそうだけど。』

やけに静かになった帰り道を2人で、ぼんやり歩く。

気づけば夏休みは終わって、むさ苦しい空気も、うるさいぐらいの太陽も無くなっていた。


『明日から普通の授業かー。やだなー。』


夏休み中にも何度か学校には来てたけど、やっぱり授業がびっちりの日々が帰ってくるとなるとすごくめんどくさい。


本当に長くて、遠い夏休みに感じてたのに 終わっちゃえば案外短かったって思った。




「毎日会えるしいいじゃん」


私が横でブツブツ言っていたからか、さりげなくそう呟くウォヌ君。





『ウォヌ君はそうお考えで？』


「うん」


『……そうですか。』


……ほんと、変なとこどストレートなんだから。



相変わらず風鈴の音よりも石油トラックの音楽の方が似合うような彼は、これから寒くなるというのにいつでも私に汗をかかせる。


…付き合ってしばらく経つのに、未だこういうのに慣れていない私も私だけれど。



「Aさんはそう思わないの？」

学校カバン片手に、半分冗談で半分本気、みたいな顔をしながらそんな事を聞いてきたウォヌ君。


『……だって、
これから寒くなるし。…それだとウォヌ君すぐ風邪ひいちゃうでしょ？』

それに少したじろいで、咄嗟に言い訳すると


「Aさんが温めてくれればいいじゃん」

なんて、平然とした顔でわざとらしく言った。




『…それもそっか。』


…変に照れ隠しで小突いたりせずに こういう言葉を飲み込んだのは初めてかもな。

私も平然とそう言えば、少し驚いたように目を開いてから 嬉しそうににこりと笑った。





それにまた胸がどく、と鳴って 一気に体温が上がる。







……夏は終わっちゃうみたいだけど





これから先も、もっと後も前も





夏の似合わない貴方に、こうして焼かれていたいって、 そう思った。





番外編 終わり
＿＿＿
これにて番外編も完結となります・・！
いやあ、、自分でも書ききれていない部分が沢山あり(ジュンさんの心情・ソハさんとジフンさんのこれから・Aさんのバイトのお話、その他諸々…)このまま終わるには歯切れが悪すぎると思って続編として新しい作品を一つ作ろうかと悩んだほどなのですが… 夏を題材にしている分この作品の中の季節が他の秋や冬、春に移り変わるのもなんかなぁ、と思い踏みとどまりました、、！
また他にご意見などがございましたら是非コメント欄やボードなどに書き込んで頂けると幸いです。
ご拝読して下さりありがとうございました。

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)

←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す