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ソハ「作文終わったの? 私のも手伝ってくんない?」
『やーだね』
ソハ「……ケチ。」
床を手でペタペタ叩きながらそう言うと、眉をしかめてそんなことを返される。
程よくクーラーで冷えた床が気持ちいい。
ソハ「そもそも、こういうのってなんて書くの?
最低でも3枚半書けってさ………3行で足りるんですけど。」
どうやらソハは訳の分からない文字だらけの数学よりも、テーマに沿って綺麗事やら戯言やらを適当に並べとけば埋まるような作文の方が嫌いらしい。
『ひとつの言葉も回りくどぉ〜く言い回して、接続詞これでもかってぐらい増やせば序論本論結論で4枚はいくよ〜。 』
心の底から文系な私には心の底から理系のソハの頭がよく分からない。
律儀に4枚くっついた原稿用紙を手に取って、ぼーっと眺めているソハ。
ソハ「それが出来たら苦労してねぇっつーのぉ。 ……あー。無理。」
……あ、力尽きた。
机にぐでん、と突っ伏して原稿用紙からも手を離して。
『…いてっ、』
見事にその手放された原稿用紙が、私の顔に舞い落ちてくる。
紙の匂いと、ちょっとした夏の匂い。
自ら退けずにそのままでいたら、しばらくしてソハが回収してくれた。
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ソハ「…………私珍しくお願いしたんだよ??」
『…え、ナンノハナシ?』
その後も永遠と動かないソハの垂れ流れる髪の毛を見つめていると、突然とそう顔を伏せたまま言ってきた。
よくソハには主語がないだなんて言って怒られるけど、主語無しで喋られるとこうも胸がドキっとするもんなんだと知った。
ソハ「…あいつ、……曲作れるし、作詞もしてるからさ…
作文とかも上手いんだろうなって、書き方教えてって頼んだのに」
『……ほぇぇ…、あ、そういうこと。』
ヤケになるみたいに原稿用紙を握る握力が強くなっていく。
……怖い、すっごい怖い。
ソハ「…”感覚で書いてるからわかんねぇ”とか天才気質なこといいやがって、…挙句の果てには書いたやつ見せられて終わりだったし、……訳わかんない。」
ぶつぶつ、ぶつぶつ。
『…ソハ、あんたってやっぱさ…』
さっき飲み込んだ言葉をもう一度言おうとしたけど
ソハ「…なに。」
超絶ドスの聞いた声とともに、顔を上げて睨まれて
『…可愛いね。』
ソハ「……ありがとう、??」
咄嗟に代わりの言葉を出すと、気の抜けた顔で首をかしげられた。
……うん、やっぱり言わない方がいいのかも。
きっと、言えたとしたら いや、ソハが気づくとしたら
まだまだ夏は、長くなるんだろうな。
そう思えばギターの鮮やかなオレンジ色が、揺れたカーテンの影でキラキラと変わった。
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月紗?(プロフ) - レモンサイダーさん、何度もありがとうございます本当に嬉しいです…😢💞 了解致しました‼️現在更新をしている作品を終えたら、新しく作らせていただきたいと思います🤭💕ありがとうございます🙇♀️✨ (2月4日 17時) (レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
レモンサイダー(プロフ) - 好きすぎて、何度目かわからないですが、また読みにきてしまいました🫣 続編ほしいです🥺🥺 (2月4日 14時) (レス) @page50 id: 194f03e581 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - レモンサイダーさん» ご拝読して下さりありがとうございました。そんな事を言って頂ける様な作品を作れた事、すごく光栄に思います…ありがとうございます😢💞まだ残り14話ほどございますので、これから書かせて頂く番外編等を宜しければ…!😭♥️ (10月23日 23時) (レス) @page36 id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
レモンサイダー(プロフ) - あまりにも好きすぎる、終わらないで〜😭 (10月23日 22時) (レス) @page36 id: 194f03e581 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - 肉豆腐さん» こちらこそ全力で応援しております……‼️😢💘 (10月23日 19時) (レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月紗? | 作成日時:2023年9月16日 19時