あの日のお返事 ページ22
「うん、でもAちゃんが好きそうだな、って思って食べてみたら案外美味しかったんだ〜」
『…そうですか、』
私が好きそう、か。
単純な言葉に聞こえて、何故か胸が熱くなってくる。
……自分が食べたいものよりも先に 私が好きそうなものを食べて選んできてくれたんだ。
そう感じれば感じるほどに口の中のスポンジも、生クリームも、甘ったるく絡まっていく。
溶けて無くなってくれなくて、飲み込んでも尚 くどくてくらくらする甘みが舌に残って
『…店長、』
それでもまだ優しい目に見つめられつづければ それがどんどん酷くなる
耐えきれなくなってフォークをカタリ、と皿の上に置けば
私の方に寄って置かれているマグカップの 真っ黒な水面が少しだけ揺れた。
「うん」
私の声にふたつだけ文字を並べて、変わらない表情で次を待つ店長。
静かな店内に流れるこの沈黙の意味も 次私が何を言うかも 全部わかっているのか
喉の奥で言葉がつっかえて、手のひらに汗が滲む私を急かさずにいてくれた。
『…私、よく夢に出てくるんです』
早く言わねば、と言葉を絞り出そうとすると 少し遠回りして出てしまったそんな事
それなのにまだ 何も言わずに私の目を捉えている店長の目は すごく真剣そうだった
『店長と初めて会ったあの日の事が』
寒くて、寂しくて、辛くて
心臓の奥深くまできっかりと凍えてしまいそうだったあの夜に
温かい空間を用意して、綿あめのように柔らかく迎え入れてくれたのは店長だった。
『今でも もしあの時ここに辿り着けてなかったら、もしあの時店長が居てくれていなかったらって思うと、怖くなったし…ただただ有難かったんです。』
『こうして一緒に働くお誘いを聞いた時は…すごく驚きましたが
ふと思い出す時にいつも あの時頷いて良かったって思います。…ありがとうございます、』
こうして本当に伝えたい事より前に話している私の話も 少し目頭が熱くなってしまいそうなぐらい穏やかに微笑んで頷いてくれる彼
その可愛らしく上がった口角を見ると
さっきまで口ごもって少し黙っていたくせに、言葉が出てきてしまえば伝えたいことで溢れかえってしまう。
……でも、伝えなければ。
逃げてしまって、ずっと言えていなかったことを。
.
.
『……私、ジスさんの事が大好きです』
頭に浮かぶ色んな言葉をかき分けて 心の不覚にあったその言葉を伝えれば
少しの間だけ止まって、その糸が解けたようにニコリと笑ってから
「僕もAちゃんが大好きだよ」と返してくれた。
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月紗?(プロフ) - なさん» まだまだ未熟な私の作品に関心を持ってくださって、好きだと言ってくださって本当にありがとうございます😭 (1月28日 14時) (
レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - なさん» 非常に勝手ではありますが、現在友達のみの公開で作っている作品はすべて準備中の作品でして、許可をさせて頂くと何度も書き直してしまったり通知で皆様にご迷惑をおかけしてしまう可能性が考えられるのでこのような形を取らせて頂いております。 (1月28日 14時) (レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - なさん» ご拝読して下さりありがとうございます。現在友達申請の方を承っておらず 皆様のお気持ちにお答えする事が難しい状況であります。大変申し訳ございません…😢🙏 (1月28日 14時) (レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - 甘くて穏やかなペースがジョシュアの人柄を表していて大好きな作品です！月紗様の作られた小説で友達限定のものを拝読したいと思い、友達申請させていただきました。難しければ許可していただかなくても大丈夫です、これからも楽しみにしています！ (1月28日 3時) (レス) id: b8691a6518 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月紗? | 作成日時：2023年8月6日 23時
