White sugar Black coffee 【2】

それ、誰の風邪？ ページ19

『…すみません』

あまりにもそれが至近距離すぎて驚いて

店長がいる方をチラ、と見てしまうと

きゅっと口は閉じて 意地悪に笑っている店長と目が合った。

その瞬間にぐらつく視線と 合図みたいにして早くなっていく鼓動

……ニッコリ笑っているように見えて瞳の奥はそうじゃないこの笑顔、やっぱりまだ慣れない。


油断して触れれば全部飲み込まれていきそうで

自分の何かを吸い取っては砂糖をまぶされていく


JH「あー、もうなんだよ？やっとくっ付いたのか？」


いつまで経っても離れてくれなかったから 諦めて台所を拭くのをやめて自分から少し距離をとると

片手に脱いだ上着を持っている店長はそのまま私を見つめているようだった。

その視線を避けるようにして、雑巾を洗いながらふと前を向くと



苛立つように眉間に皺を寄せて、氷を口にほおりこみガリガリと食べているジョンハンさんとまた目が合った。



今のでなんとなく私が黙っていた理由がわかったのか、はたまた違う想像までされたのか

直感が当たりすぎてしまう悪魔はジト目で気分が悪そうにしている。

『…違いますよ』


……今の真っ赤っかな顔で言ったって意味が無いことは分かっているけど

反射的に出た言葉をそのままジョンハンさんに伝えると


「まだ、違うもんね？」


なんて、横から聞こえてきた。

それに思わずそっちの方を見てしまえば またバチリと目が合っては痺れる。

……これ以上私をいじめないでくれ。。

JH「はぁ〜、こちとら調子悪いってのに何見せつけられてんだか。」


またすぐ目を逸らしても体の熱が引かなくて 色んな所へと動いていってしまう視線

結局それでたどり着いたのは、さっきより苛立ったようにして髪をかきあげたジョンハンさんだった


「確かに今日体調悪そうだね、…移しちゃった？」

げほげほ、と癖のように咳をしては、店長のそんな言葉にこっちを向いて


JH「……え？あぁ、うん」

少し間をあけてそう返したジョンハンさん。

なんだか変な間だな、なんて考えていると

”でも、風邪ひいた時会ってないよね”って声が横から聞こえてきた。



＿＿＿＿＿
1/1午後4時頃、石川で震度7の地震が発生いたしました。

こんな時に更新するのはどうかと思いましたが こうして言葉を作る機会を作りたかったのと
今、不安な気持ちを抱いている方が少しでも苦しくならない様にお手伝いを出来たらと思い
お話を更新させていただきました。

皆様がどうか無事でありますように。いくつか時間が経った時に笑えていますように。

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