. ページ12
「…美味しかった〜。ありがとう、Aちゃん。」
その後、ゆっくり起き上がった店長はもくもくとその雑炊を食べ進め、(最初の二三口は私が口に突っ込んだ) きっちり完食してくれた。
今は薬を飲んでもらって、やっと一段落ついた所。
『体調はどうですか？』
「さっきと比べてすっごく楽になったよ〜、どう、今から一緒にお買い物でも行く？」
『何言ってるんですか、もう。』
確かにさっきよりか顔色が良くなった気がするけれど、それとこれとは話が違う。
ぬるくなった冷却シートをおでこから剥がして、手を当ててみてもまだ十分熱いのに。
『ほら、まだ熱あるでしょう？』
「38度切ってる〜、もう元気だよ。」
『はいはい、落ち着きましたね。横になりましょう。』
丁度鳴った温度計を見てもまだ熱はあるし
へらへらしながら”も〜”なんていう店長の頬は、全然ピンク色だ。
何とかあしらってもう一度ベッドに寝かせると、不満げにこっちをまた見つめてくる。
「…もう帰っちゃうの？」
ふと時間が気になって時計を見て、9:23という数字を確認してからもう一度目線を戻すとそんなことを言われて。
『……ずっと居ても落ち着かないと思うので しばらくしてから帰らせて頂こうと思っていますが「…そっか……Aちゃんは病人を1人にして帰るんだね……」…あ…いや、私が邪魔でなければ居させていただきます……が…』
思わず可哀想だと思ってしまいそうな口調に、寂しそうな眼差し。
さっきまで申し訳ないと言って追い返そうとしていた人と同じ人か疑うほどだ。
ただでさえ店長の押しに弱いって言うのに、ほんと………
「…じゃあどこ行こうとしてるの、？」
それにいつもより幾分か頼み事が多い気がする店長。
『お皿片付けようと……』
「………そんなのわざわざしなくていいよ〜、ここに居てよ。」
熱を出すと寂しがり屋に勢いが増す……だなんてこともあったりするのだろうか。
『はぁ……分かりました、ほんとすぐ戻ってくるのでまた休んでおいてください。』
それにキツく言い返せない私も私で 不服そうな店長を置いて高速でお皿を洗い終えた時はなんだか必死すぎて自分で笑ってしまった。
＿＿
「もう、遅いよ〜。ありがとう」
『…すみません、おまたせしました。』
……実際3分もかかっていないし、なんなら寝とけと言っておいたはずなのだけれど。
それでもゆっくりと部屋に入ってそばに腰を下ろせば、嬉しそうな表情をした店長がいて何も言えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 749人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月紗?(プロフ) - なさん» まだまだ未熟な私の作品に関心を持ってくださって、好きだと言ってくださって本当にありがとうございます😭 (1月28日 14時) (
レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - なさん» 非常に勝手ではありますが、現在友達のみの公開で作っている作品はすべて準備中の作品でして、許可をさせて頂くと何度も書き直してしまったり通知で皆様にご迷惑をおかけしてしまう可能性が考えられるのでこのような形を取らせて頂いております。 (1月28日 14時) (レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
月紗?(プロフ) - なさん» ご拝読して下さりありがとうございます。現在友達申請の方を承っておらず 皆様のお気持ちにお答えする事が難しい状況であります。大変申し訳ございません…😢🙏 (1月28日 14時) (レス) id: d53eba97f9 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - 甘くて穏やかなペースがジョシュアの人柄を表していて大好きな作品です！月紗様の作られた小説で友達限定のものを拝読したいと思い、友達申請させていただきました。難しければ許可していただかなくても大丈夫です、これからも楽しみにしています！ (1月28日 3時) (レス) id: b8691a6518 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月紗? | 作成日時：2023年8月6日 23時
