イコールで繋いだ愛と愛。 (ページ16)

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♪ ページ16

『せんせー！！』

「ん……ぁ……」

『寝たふりしても無駄です！私との話に付き合いなさい！！』

勢いよく開いた扉を見て先生は呆れた顔で椅子にもたれ掛かる。

『教師は寝ちゃダメです！！こんなところで！』

「生徒はこんな所に来ちゃダメです。帰れ。」

『酷い！冷たい！！塩！この野郎！』

私がズカズカと音楽室に踏み込めば、先生はイヤなかおをしてあぁ……！と声を上げた。

いやん。乙女の心が傷付く。

『先生ほんといっつもここにいますよね？私を待ってくれてるんですか？うふふ』

「逆に職員室にでも居りゃどうせお前大声で探し回ったりすんだろ。迷惑かけれねぇんだわ。」

『ちぇ、。』

だって、先生がもっと人気になる前に、1秒だけでももっともっと一緒に誰よりもいたいじゃん。

『なんか1曲、弾いてくださいよ。』

「ええ、めんどくさ。」

珍しくピアノの前に座ってたユンギ先生に、椅子を近くまで引きずってきてそうねだる。

鍵盤に綺麗な両手を置く先生を見て、やっぱり胸が高鳴った。

数秒してゆっくりと綺麗な音色を響かせるユンギ先生。

真剣に鍵盤を目で追う姿も、少し伏せ目になるのも。

ゴツゴツした手首につく銀色の腕輪も、全部好きで。

流れてくる音色は、いつも音楽室から聞こえてくる曲。

普段と同じでも、その曲は私の時間を止めるみたいにして幸せな時間をくれる。

旋律が終われば、少し悲しい気分にもなるけれど。

残ったピアノの残像でさえ、綺麗に聞こえて。

『いつも弾いてるけど、この曲、なんていうんですか？』

「…seesaw」

『し、しそ？』

「seesaw. 2人で乗って、2人の重さを使って遊ぶ遊具。」

『あぁ～！誰が作ったんですか？！とっても好きです。この曲』

「俺。」

『ふぉ？！』

「元々作曲家だったの言ってなかったっけ」

『いや、聞いてないですよ！！！早く言ってください！！』

新事実に目をみ開けば、フッと鼻で笑われる。

『えぇ…… すごい、歌詞とかが聞いてみたいです』

「調べたら出てくんじゃね。」

『……そんな凄いんですか。』

そうなんじゃね、と素っ気なく返すユンギ先生は、少しだけ嬉しそうに見えた。