退屈な日々に別れを告げて【wrwrd!】 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:16,020 hit

°6 ページ6

どぷん。

大きな水飛沫をあげて降りたのはどこかの水の中。

水の中に入った途端、ゾムさんは体制を変え、そしてそのまま私を引っ張りあげてくれた。

水中から顔を出すと、ずぶ濡れになったゾムさんと目が合う。

綺麗な緑色の目だなぁ、なんて思いながら、
「…ありがとうございます」
とお礼を言えば、

「いいって。…ほら、大丈夫やったやろ？」
そういってまたあの笑顔を見せてくれた。

そして、ゾムさんがあれだけ自信満々に「大丈夫だ」と言っていたのは水に飛び降りれる位置から落ちたからだったのか、と一人で納得する。

少しまわりを見渡すと、ここが噴水の中なのだということがわかる。

ゾムさんと共に、水から上がりながら、

「あはは…でしたね…。」
と言えば今度は顔をしかめ、

「…城戻るまでに何が何でも服乾かすで」

と言った。
──あぁ、そっか。これ…。
朝起きたら違う服になってたんだったな。

「り、了解です」

ゾムさんは、ん。じゃあ行こうか、と言って歩き出したので、私は急いで後を追った。

ーーー

その後、ゾムさんに連れられ色んな人に挨拶をしてまわった。

国の外交官だとかなんだとかをやってる人がいて、仕事の見学をしたり、
居ない人がいて探したりと終始ばたばたしていたけど、面白い方々ばかりで、いい国だと感じた。

「…じゃ、城戻るで」

途中からゾムさんは、用事があると言ってコネシマさんという方に案内役(といっていいのか…)を替わった。

「はーい。…パーティーやるんですか？」

「え、もう聞いとったんかそれ。…せや。パーティーという名の歓迎会や。Aのな！」

「1人来ただけで歓迎会とか開いてくれるんですね…！」

なんか凄いなぁ、と私がこぼすと、コネシマさんは少し間を開け、

「…ま、楽しんでくれや！」

と笑顔で言った。

「…それと…、」

「…？」
コネシマさんは何かに気づいたようにそう言う。なんだろう、と黙っていれば、私の頭を優しくぽんとたたき、

「タメ口でええで。敬語やと堅苦しくてかなわんわ」

と言った。
「えっと…コネシマ改めてよろしくね！…でいいのかな？」

慣れない敬語を使いそう言うと、コネシマは、少し乱暴に頭を撫でてきた。

「わ…！？」

「ははは！髪やっば！…こちらこそ改めてよろしくな～！」

コネシマと他愛も無い会話を交わすうちに、私達は城の前へ着いた。

そしてコネシマは、城の前に立つと、大声で叫んだ。

「おーーい！帰ってきたでーー！」