Gifted 2

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｢四鬼くん、写真撮って！｣

いつのまにか写真を撮る交渉までしたらしい天草さんはにこにことスマホを夕也に渡す。
呆れながらも夕也は何枚か写真を撮った。

｢ありがとうございます！実は僕、将子さまに将棋を教えて貰ったことがあるんです｣

｢えっ？｣

20年前、小中学生の将棋教室で当時12歳だった天草さんは年上相手に勝ち続けていた。
そんな天草さんを見て藤堂さんは 自信がある事はいいこと。しかし油断は大敵。 と声をかけたそう。
その時の優しさにやられて以来20年、天草さんは藤堂さんのファンだという。

｢今日の対局も頑張ってください｣

｢えぇ。ベストを尽くします。｣

ちらりと薫の方を見て藤堂さんは今度こそ階段を下っていった。

｢では、失礼します。A、またね｣

『うん、また』

その後に続いて薫も階段を降りていった。

｢四鬼くん、金田さんいるの知ってて心配だから来たの？｣

『え、夕也知ってたの？』

｢いいから、行こうぜ｣

天草さんの質問に答えず、スマホを天草さんに渡して背を向けた夕也。
夕也は薫がここに居ることを知ってたのか。
なんだ、言ってくれたらよかったのに。

人とあまり関わらないと言っても夕也は根が優しいから逆に人とあまり関わらない分その優しさが表に出やすい気がする。
誰にでも優しい人なら誰か一人に対する優しさに気づかないけどそうではないから夕也の誰かに対する優しさが見えるのは時々苦しい。

『私達も行きましょうか』

｢うん、そうだね｣

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