Gifted 2

××16×× ページ17

『えっ、と…』

とあるカフェ。私の横に座る夕也と、夕也の向かい側に座る天草さん。
そしてその天草さんの隣に座る男性。

山井健太さん。
高城さんの熱烈なファンで、私と夕也が会場に入る前に見た高城さんのポスター写真を連射していた人だ。

夕也は天草に向かって緩く首を振る。
それはつまり、山井さんに黒い影は見えなかったということ。

｢あの、話ってなんの？｣

｢山井さんはあの日の対局後、高城さんを会場で出待ちされていたんですよね？｣

｢はい｣

｢でも、高城さんは夜の7時にSNSで_公園を散歩している_と投稿しています｣

高城さんのファンならSNSもチェックしているはず。
なのに何故、高城さんが居ると言った公園に行かなかったのか。

｢だって、フェイクだって思ったから｣

『フェイク？』

｢あゆたんの、いつものやり方なんです｣

高城さんはわざとどこかの写真を投稿していて本当は全然別の所にいる、というのをかなり頻繁にやっていて熱烈なファンの間では有名な行為だったらしい。

｢なんでそんなこと…｣

｢さぁ…？ストーカー対策って噂もあったけど…｣

ストーカー対策。有名な人にはそういうのもあるのか。
私と夕也がじっと山井さんを見つめれば山井さんは焦ったようにストーカーは自分ではないと弁明してきた。

いや、疑ってもないよ…

あの日も公園にいると見せかけてその間に会場を出るつもりなんだと思ったから山井さんは裏をかいて会場に残って居たという。

｢でも、高城さんは公園で見つかった｣

私の中でそこが1番の謎だ。
高城さんが亡くなって公園で見つかったというからここまでノコノコと着いてきたものの、さっきの非常階段で高城さんの声がした。
それは高城さんがそこで死んだということ。
では何故、高城さんは公園で見つかったのか。

そんなことは考えても分からないので諦めて目の前に置かれたりんごジュースを口に含んだ。

｢あゆたん…！なんで…！？｣

泣き始めてしまった山井さんを夕也と一緒に慰める。
好きな人が亡くなったんだ。そりゃ泣きたくもなる。私も泣きたい。

『あの、大丈夫ですか…？』

｢ちょっとあんた、この人なんとかしろ｣

天草さんは少し考えた顔をしたあとニヤリと笑った。

｢証明出来たよ、君が見たものを｣

ほら、もうなにも心配はいらない。
私が聞いたことを全て話さなくても天草さんは事件を解決するのだから。

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