Gifted 2

××15×× ページ16

気持ちが悪くなる前に階段を駆け下りて駐車場への扉を開けた。
滑り込ませるように小さく開いた隙間から駐車場に出れば高城さんの声は一切聞こえなくなった。

『…ふー、』

しゃがみこんでゆっくり深呼吸をする。
深呼吸をすれば大概のことは大丈夫になるんだから不思議だ。
不正の証拠を高城さんが見つけたことを天草さんに話すべきか。
話さなくても天草さんなら見つけそうな気もする。
気もするっていうか、あの人なら見つけるな。よし、言うのは辞めよ。
触らぬ神に祟りなし。無理に干渉するのではなく適度な距離感で行こう。

｢A、大丈夫か？｣

うんたらかんたら考えていたら後ろの扉が開いて夕也と天草さんが出てきた。

｢頭、痛い？｣

しゃがみこんだ私に合わせて夕也もしゃがんで優しく頭を撫でられる。
心配そうに私を見る夕也と、何やら考え込んでいる天草さん。

｢A？｣

『あ、うん大丈夫。ごめんごめん』

立ち上がろうとする私の体を優しく支えながら夕也も立ち上がる。

｢大丈夫ならいいけど｣

｢一ノ瀬さん、今からちょっと聞き込み行くけど行くかい？もちろん、四鬼くんも一緒に｣

考え込んでいた天草さんはいつの間にかいつも通りの天草さんになっていた。

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