caramel 2 (ページ30)

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One Step ページ30

11月某日。
不安を抱えたままドームに経ったあの日から１ヶ月。
着実と生配信へ向けて計画は進んでいた。

『おはようございます』

「おはようございます。今日もよろしくお願いします！」

『こちらこそです！』

まだ夜も明けきらぬ早朝から彼女は笑顔でやって来た。
今までは他の仕事の合間に行われていたことも、今日は早朝から夕方までの時間が取れた。
その後は雑誌の撮影とインタビューが入っている。

「今日はどんなことを？」

『ある程度決まってきたので、細かいところをやっていきたいですね、』

生配信だからといって手は抜かない。
むしろ生配信だからこそこだわり抜くのだと彼女は言った。

『席に人がいないからこそ出来ることってあると思ってて、色んな方の配信ライブを見てアイディアをもらいました』

ドームという大きな舞台に1人。
そこから見える景色はどんな景色なのだろう。
彼女には何が見えて、何を我々に見せてくれるのだろうか。

『2日間やるのでちょっとセトリも変えようかな〜って思ってて…』

セットリストや衣装、舞台に当たる照明にまで彼女のこだわりが広がる。

｢神崎さんがこの生配信で伝えたいことはなんですか？｣

『そうですね…。希望ですね。新型コロナウイルスの影響で当たり前だったものが特別に変わってライブとか、撮影とかが延期や中止になってしまってるんですけど、その中でも諦めてる人がいないよっていうのを伝えたいです。
また皆と会える希望、明日を輝かせる希望。大層なものになれなくても誰かの希望になれたらいいなって思います。』

続く自粛生活。誰もがどこかで諦めていた有観客でのライブ。今回は無観客の生配信ではあるがライブをする事を諦めていないことを伝えたい。そう彼女は語った。

『どれだけ時間がかかろうと、私を含め全てのアーティストの方が絶対にまた皆さんの前に立つ日が来る。今回の生配信はそんな日への1歩だと思います。』

彼女はその希望を誰よりも強く、信じている。