すきなひと(another6話より) ページ3
「…れ、れん？これ運んでくれる？」
「ん」
俺が神宮寺と言い合いになってから、どうも廉がご機嫌ななめ。
俺が何を言っても返事は1文字、多くて3文字。
何怒ってんの、って聞けたら1番いいのだろうがどうも聞きにくい。聞いたら余計怒られそう。
廉って顔整ってるから無表情だと怖いんだって。つか、なんか神宮寺帰ってるし。なんで？いつのまに？お前にも多分原因あるけど？？
「…れん、」
「こんにちはー」
呼びかけた声は、客によって遮られた。
ぶんぶんと頭を振る。
……今は接客に集中しよう。
「紫耀ちゃん、久しぶりね〜。こんなにおっきくなって」
「え！お久しぶりです」
昔っからの幼なじみのお母さんだった。
俺がまだまだちっちゃいとき、俺んちの近所に2歳年上の女の子が住んでた。
神宮寺と3人でよく遊んでたけど、俺が12になる頃には引っ越してしまった、俺の初恋の人。
「今度ね、あの子結婚するのよ。だから衣装は平野屋さんにお願いしようかなって」
「ああ、それはお任せ下さい。おめでとうございます」
「ふふ、あの子小さいときは紫耀ちゃんのこと好きだったのよー？」
「っえ」
「それが、結婚するなんてねー」
爆弾投下ってこういうことだろうな。
小さい時、だ。あくまで。俺だって好きだったのちっちゃいときだしね。別にだからってなんとも思わないけれど。
「紫耀ちゃんは？結婚とか考えてないの？」
その言葉に、廉の方をみやる。
俺の事なんて見ていないと思っていたのに、こちらの話を聞いていたのか思いがけず目が合った。
不満そうな……寂しそうな、顔をして目をそらすから廉の方にも聞こえるように少しだけ声をはった。
「心に決めた人はいますけどね」
おどけたように言えば、おばさんもにこりと笑って「大事にしなさいよー？」と言う。
ちらっと廉を見れば、顔は背けているが耳が赤いから多分伝わってる。
おばさんを見送りながら、思い出した。ついさっきの出来事を。
『好きな人おったのは聞き捨てならんけど聞かんかったことにしといたるな』
…廉めっちゃ不機嫌の理由話してくれてたわ。
後でちゃーんと話さないと。
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名無し(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます。自分で書いておいて紫耀くん理想の男すぎてしんどいですね(？) シリーズ大好きって言ってもらえるの1番嬉しいです！素敵だなんてそんなそんな。読んでくださってありがとうございます！ (2020年11月4日 22時) (
レス) id: 552652e013 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - くつしたさん» コメントありがとうございます。お礼だなんてそんな！ほんとに更新してなくて申し訳ないです…泣 れんちゃんとしょうくんほんと尊いですね？！自分で書いてて思います(は) あたたかいコメントありがとうございました！ (2020年11月4日 22時) (レス) id: 552652e013 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 誤魔化したり言葉を濁したりせず、真っ正面からぶつかって廉くんの不安ごと抱き締める紫耀くんかっこよすぎて...(T^T) このシリーズ本当大好きです！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ 素敵な作品をありがとうございます！！泣 (2020年11月4日 1時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
くつした(プロフ) - 本編からひっそり覗かせて頂いていたのですが、今回の久しぶりの更新がうれしすぎて直接お礼を言わせて頂きたく…。ほぼ初めての嫉妬をしちゃうれんれんと、「もう廉が最後だと思う」安心させてあげる平野氏尊い…。これからも応援しています！ (2020年11月4日 0時) (レス) id: 69291a112e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2020年9月6日 23時
