2 ページ2
「ジン、ここって…」
「あ、さすがの紫耀も知ってるか」
ジンに連れてこられたのは、いわゆる遊郭だった。
こいつがずっと遊んでたのは知っていたが、俺はそういったものに全く興味がなかったし、ここに来るのは初めてである。
さすが幕府が運営しているとのこともあり、随分と豪華絢爛な建物である。
ジンは、やはり顔なじみなのか、受付を難なく通り抜けた。
俺を見て、訝しげな顔をした男も「平野屋の息子だよ」の一言で何も言わずに通してもらった。
長い長い廊下を、少女の後に続きながら歩く。
「あの女の子って…」
「ああ、遊女の見習いだよ。新造ってやつ。聞いたことない？」
見たところ10歳ぐらいだが、こんなところにいるのだから少女も身売りされてきたのだろうか。
ここ、吉原遊郭は全国でも大きな遊郭で、数百人の遊女たちがいる。
耳馴染みのある花魁というのは、遊女の中でも階級が1番上で滅多にお目にはかかれないらしい。
花魁に会おうものなら、時間もお金も相当かかる。
さらに、階級関係なしに初めての客は遊女と話すことすら許されない…………らしい。
「…ってことだから。一応俺も紫耀も有名人っちゃあ有名人だし、1番いい部屋には通してもらえるけど、失礼のないようにね。出禁になったら困っちゃう」
「別に俺は今後来れなくてもいいけど」
そう言うと、肘鉄をくらった。
どんだけ遊びたいんだよ、コイツ。
「こちらでお待ちください」
新造に通された部屋は、それなりに広いと思う。
窓の障子を開けると、外は派手な行灯の明かりが眩しかった。
慣れない雰囲気に、何度も着物の合わせをなおす。
どこに連れていかれてもいいようにそれなりに良い生地のものを選んだが、まさかここに来る事になるとは。
その時襖が開いて、女が2人入ってきた。
「三重でありんす」
「……睡蓮でありんす」
三重と名乗った女は、ジンの隣に座り、何やら話し始めている。
女郎と話していいのは3回目かららしいが、コイツは一体何回目なんだろうか。
一方の睡蓮は、俺の隣にやってきた。
「…ども」
何も言わないのは職業柄居心地が悪くて、挨拶してみたが、やはり何も返ってこない。
女性にしては、身長が高めなのだろうか。大して顔の位置が変わらない。
化粧も濃いため、本当の顔はあまり分からないが、相当美人なんじゃないだろうか。
一言も喋らないなんている意味あるんだろうかと思っていたが、結局俺は彼女の顔に見とれていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し(プロフ) - 音奈 きらりさん» コメントありがとうございます。幸せな2人もちゃんと書いていきますね！笑 (2020年6月17日 20時) (
レス) id: 552652e013 (このIDを非表示/違反報告)
音奈 きらり(プロフ) - 楽しく読ませて頂きました。幸せに暮らす2人も見たいです〜♪ (2020年6月17日 17時) (レス) id: ba403501a5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - いむさん» 看板息子、いいですね！笑 しょうれんはきっと幸せに暮らしてます笑 続編もぜひお楽しみください (2020年6月17日 17時) (レス) id: 552652e013 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - なーさん» 読んでくださってありがとうございます！番外編のアイデア思い浮かびすぎてやばいです笑 番外編に関しては、皆さんからお話のリクエスト等も、もしあったら書こうかなと思ってるので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです (2020年6月17日 17時) (レス) id: 552652e013 (このIDを非表示/違反報告)
いむ - しょうれん最高でした！二人がどんなふうに暮らしてるのかな〜、など、沢山妄想しています。笑笑 続編も楽しみです！きっと廉くんなら看板息子…？になりますよね！ (2020年6月17日 11時) (レス) id: 220416b2f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2020年5月3日 19時
