泣き虫を笑って ３

０８４：目すら合わない ページ2

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翌週の月曜。

久しぶりに出勤。



皆に迷惑を掛けてしまったからお菓子を買って持ってきた。デパートに売ってるちょっと良いやつ。



「A、もう大丈夫なのか？」

「長くお休みを頂いてしまってすみません…もう完全復活しました！」

「なら良かった。今日から3倍は働けよ」

「はい！喜んで！」





課長に挨拶してからみんなにお菓子食べてくださいね、って声を掛けて自分のデスクへ。




一応…。


一応だけど、島崎さんにも迷惑かけちゃってごめんね？と謝る。


お菓子を渡すと、少しだけ微笑んでありがとうございますって言われた。


ありがとうございますとか言えるんだ、とか思っちゃうあたり、私も相当嫌なやつかもしれない。



京本さんとは……もちろん話せるわけなくて。
目すら合わない。




「もう体調大丈夫？」


北斗が覗き込むみたいに顔を見てくるから、びっくりして少し離れる。



「うん、北斗ありがとねいろいろ。ほんと助かったよ」

「いーえ？」

「今度お礼させ…」

「じゃあ今日の昼飯奢りね」



まだ言い終わってないのに被せてそう言われる。

全然良いけど。



休んでた間の書類とか担当の仕事は北斗が言ってた通り、皆で振り分けてやって貰えてたみたいで。



だけどもちろん溜まってるのもあるから、急いでパソコンをカタカタと打ち込む。





「松村」



自分が呼ばれた訳じゃないのに、その声にビクッ！と反応してしまった。恥ずかしい。



正面のデスクの北斗に話しかけてるのは、京本さん。


なんか珍しい組み合わせ。
この二人が話してるとこなんて、ほとんど見た事がない。





「悪いんだけどさ、この書類頼んでいい？」

「良いですけど……」

「よろしく、昼までに」

「え！昼までですか？」

「そう」




パソコン打ってるフリして盗み聞き。ごめんなさい。


でもなんで北斗に？ペアでもなんでもないのに。


北斗と目が合って、なんで俺？みたいな顔してる。
そりゃそうなるよ。



京本さんのペアは田中じゃん。

田中暇そうだよ？そこで。






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