泣き虫を笑って ３

１２０：女優？ ページ38

.







会社に戻って課長にさっきのことを報告すると、京本に感謝しろよって肩をポンと叩かれた。




「うまくいった？」

「わ…！北斗……」



給湯室で京本さんにコーヒーでも入れようとゴソゴソしていると北斗が中に入ってきて、少しびっくりする。



「行ってきたんでしょ？京本さんと」

「…うん。OK貰えた」

「そっか。ごめん、俺なにもできなくて」



そう言って、困ったような顔をする。



「何言ってんの！北斗だってあの時一緒に書類とか探してくれたじゃん。あ、それと…ごめん、ライン…」

「なんなの？あの人。さすがにカッコよすぎない？」



…たしかに。

まるで、ヒーローみたいだった。



「あーあ、京本さんにあんなカッコイイことされたら俺の出番無いじゃん」

「北斗…」

「ごめん、俺いろいろ勘違いしてたみたいで」

「え？」

「さっき島崎が荷物とか取りに来ててさ」



北斗の話によると、どうやら専務と一緒に事務所を出て行ってから島崎さんは荷物をまとめる為に戻ってきたらしい。


帰り際に挨拶もろくにしないから、会社の入口まで追いかけて行ってミキがキレたみたいで。



「俺は止めたんだよ？でも佐々木キレ出したらもう止まんなくてさ」



それはちょっと想像つくから笑える。



それから京本さんとはどういう関係なのよ！？って詰めたらしく。



「京本さんとは、何も無いんだってさ」

「……え？」

「なんかトイレで？どーのこーのとか言ってたけど。あれは咄嗟についた嘘です…とか言ってて。何の話か分かんなかったけど」

「え！？嘘って……」



デートの約束したってやつ？

あれ嘘だったの…？




「Aがトイレに居るって分かってて言ったの！？って佐々木余計にキレてさ」

「えっ…」

「もう俺と樹で必死に抑えたんだから」



……え、じゃあ、あれはわざと…？



朝から何回もトイレに行ってたから…？
だからって堂々と本人に聞こえるように？


すごいな……こんなとこで仕事するより女優にでもなった方がいいんじゃない…？



ていうか……さすがに性格悪すぎない？




「トイレでなんかあったの？」

「えっ、あー…」



そうだ、北斗には話してないから知らないんだ。



その時のことを簡単に話すと



「あいつ、すげーな」



今まで出会ったことないタイプだわって北斗も苦笑い。




.

１２１：一件落着？→←１１９：この前は、ごめん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す