泣き虫を笑って ３

１１８：お前はお前でいい ページ36

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たくさん付箋を貼ってあるページを次々に開いて、予算案だったりいろいろ…

それにタブレットを取り出すと、こちらが当日の現場なんですけど…とか言って写真を見せてる。

デザインは…とかまた別の写真を見せて……。




その後も次々に京本さんがいろんな資料を見せて、今年の企画について社長さんに話してくれた。




「是非とも協力させてもらうよ」



その一言を貰うまでに時間は掛からなかった。



「本当ですか！？」

「君たち、若いのによく頑張っているんだね。君は…Aさん？良い先輩に恵まれたね」



なんて言って優しく微笑んでくれた社長さん。



無事に今年の企画のOKを貰い、打ち合わせの日取りまで決めて◇◇社を出た私たち。



すごいな…京本さん……。


いつも口数少ないくせにあんなに饒舌に喋って…。



「あの…京本さん」

「な？中身を見せるってのはこーゆーこと」



ありがとうございますってお礼を言おうとしたのに、なんだかよく分からないことを言ってくる。



「えっ…」

「外面ばっか気にすんな。お前はお前でいい」



……何の話？








「京本さん、社長さんとお知り合いだったんですか？」

「んー、知り合いっつーか俺が代わりに企画リーダーやった時も◇◇社が協力会社だったから、それで」

「あの…資料とか、写真とか……あれ全部京本さんが？」

「あぁ、クレームの電話最初に取ったのたまたま俺で、◇◇社ってどこだっけなーって思ってて」



そういえば…電話取ったの俺じゃないからって課長言ってた。


京本さんだったの…。





「なんか松村が島崎のこと詰めてて、お前もキレてたし」

「・・・」

「あのクソ部長、金と地位のことしか頭にねーから。課長があーやって言うってことは、多分お前の企画ダメにするんだろうなって思って」




ん…？それって……。




「島崎さんのこと……追いかけて…」

「は？」



追いかけたんじゃ…なくて？

もしかして資料室にデータ探しに行ってた…？

だとしたらタイミング悪すぎない…？



「島崎さんのこと慰めようと、追いかけてましたよね…？」

「何の話してんだよ」

「えっ……」



……違うの？



「なんで明らかに自分が悪いのに被害者ヅラしてるやつ慰めに行くんだよ。そんな暇じゃねーし」

「でも…」



大事なもの守るために…みたいな顔…してたよ？





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