泣き虫を笑って ３

１１６：持つべきもの ページ34

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「あっ…えっと……」



どうする？このメタボ！くらいは言っとく？


なんて思うけど、言えるはずもなく。




そのまま専務は島崎さんを連れて事務所を出て行った。



部長は自分のデスクで項垂れてて、ずっと張り詰めていた緊張感から…やっと解放される。




ふー…と一息ついて私も自分のデスクに座ろうとするんだけど、誰かに腕を引かれてそれは遮られる。



「うわぁ…！」

「行くぞ、準備しろ」

「……どこにですか？」

「あ、それ持ってこいよ」



え…？これって…？



私のデスクの上にある付箋の付いた冊子と、私の書いた企画書が入ったクリアファイルを指差す京本さん。




「これ…京本さんが…？」



北斗じゃ…無かったの？


慌ててさっき北斗に送ったラインを見返すと、何の話？って返信が来てた。



「早くしろ、時間無い」

「あ…はい…！」



とりあえずよく分からないけど、どこかに連れていかれるみたいで、急いで準備する。


その間に京本さんは課長のところへ言って何か話してて、課長はにこやかに行ってこーい！と言った。



ていうか……



「あの、良いんですか？」



2人で事務所を出て、エレベーターの中。

さっきから気になっていたことを聞いてみた。



「なにが」

「島崎さん…のこと」

「は？」



えっ、だってさ…付き合って…るんじゃないの？
もしくはそういう感じではあったんじゃないの……？



「あいつが会社辞めようが興味ねーって言ってんだろ」

「えっ…」



そういえばそれ…さっきも言ってた。



「お前には聞きたいことが山ほどあんだよ。でもその前にそれ片付けんぞ」



私の腕の中にある冊子たち。



「え…今からどこに……？」

「◇◇社」

「え！？」



直談判…しに行くってこと？



「大事なのは中身。クソ部長の機嫌取りなんかしなくてもお前の企画書だったらOK貰えるから」

「・・・」

「これは要らないプライドなんかじゃない。持つべきもんはちゃんと持っとけ」



…え……。





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