４９：忘れちゃった？ ページ49
.
「なんつー顔してんだよ」
「・・・」
「やっぱ俺行ってくるわ。お前らAと一緒に居てやって」
「行くってどこ行くの……」
「は？北斗んとこに決まってんだろ。納得出来ない」
これダメなやつだ。
大我だいぶキレてる。
「やめてよ。何言うつもり？」
「こんなんどう考えてもおかしいだろ」
「・・・」
「俺らにも何も言わないとか有り得ねーから。だいたいどこのどいつだよあの女。見たこともねーんだけど」
「・・・」
「マジで何考えてんのあいつ。Aの気持ち分かって……」
「きょも」
一人で苛立ちを吐き出し続ける大我を樹が止めた。
「きょーちゃん？」
さっきと同じように、樹に顔を覗き込まれて頭を撫でられる。
やめてよ。必死に我慢してるのに泣いちゃうじゃん。
「あーもう……」
「きょも、今日はきょーちゃんと居てやって。可愛い妹の一大事だろ」
「……帰るぞ」
そのまま大我に腕を引かれて学校を出た。
無言のまま歩き続けて１０分程度。
今更気付いたけど、だいぶ遠回りしようとしてる。
きっと、大我なりの気遣い。
家に帰ったらすぐに私が自分の部屋に閉じ篭もるのを分かってるから。
ずるいなぁ、皆。
こういう時しっかりお兄ちゃんなんだもん。
「私……実はちょっと期待してたんだよね」
「え？」
やっと口を開いた私に、大我が少し驚いた様な顔を見せる。
「あの日ね、北斗くんに言われたの」
「なんて？」
「��樹は特別だもんね��って」
「は？」
正直、今までずっと心の中でどこか期待していた。
もしかしたら北斗くんも私と同じ気持ちなのかも……なんて。
だからずっと待ち続けた。
高校生になるまで……あと少しだったのに。
「……覚えてるわけないか」
��高校生になっても彼氏作っちゃダメだよ？��
��約束ね��
あの時の約束。
一方的な約束じゃないと、今までずっと信じてきた。
��じゃあほっくんも、私が高校生になるまで彼女作らずに待っててくれる？��
��分かった。待ってるよ��
��約束だよ！��
待ってるって……言ったじゃん。
私が雷が嫌いなことも、練乳が嫌いなことも、ずっと覚えてくれていた。
誕生日には、ほっくんがくれる花束が一番嬉しいって言ったことも……毎年覚えてくれていたのに。
私にとって一番大切な約束は…………もう、忘れちゃったのかな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2581人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
anna(プロフ) - chakaさん» なんか気づいたら勝手に消えてたんですよ！！何回やっても消えてるし、直せないしで困ってるところです😅chakaさんのお話大好きだし、アカウント消したりなんかしませんよ！移行待ってます✨ (8月17日 20時) (
レス) id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)
chaka(プロフ) - akikumaさん» akikumaさ〜ん！お忙しい中コメントまでありがとうございます🥹🩷怒ってくれる大我くんたまらんです〜！こういう時にとびきり優しくて絶対味方な大我と樹ほんっっっとずるいです…🤦♀️ (8月17日 18時) (レス) id: 93153d1174 (このIDを非表示/違反報告)
chaka(プロフ) - annaさん» annaさん、コメントありがとうございます！今までのコメント消えちゃっててアカウント消しちゃったのかとションボリしてました…(笑)またコメントを頂けて嬉しいです🥰ほっくんの謎行動が出てきたところで移行です！お楽しみに🥰 (8月17日 18時) (レス) id: 93153d1174 (このIDを非表示/違反報告)
chaka(プロフ) - まゆみんさん» まゆみんさん、コメントありがとうございます！そうなんですね💦私も素人ですし、お話が似ることもあるとは思うのですが一応教えて頂いてもよろしいでしょうか💦 (8月17日 18時) (レス) id: 93153d1174 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 似たような作品を発見しましたが教えた方が良いですか？ (8月17日 5時) (レス) id: a1034cd24d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：chaka
| 作成日時：2023年7月1日 17時
