元カレが結婚しました！

１４：敵 ページ14

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「そろそろお開きだけど、」



言い返してやろうと思ったところにやってきた田中くんに、私の言葉は遮られた。



「何してんの、お前ら」



私たちを見て、目が点になってる。



……やばい。勘違いされる。



そう思って勢い良く離れようとしたのに。



グイッと引き寄せられ、腰を抱かれた。



「ちょっと、何して…」

「ん？」



ん？……じゃないから！離れてよ！



「お開きでしょ？送ってく」

「……は！？」



あーそう、なんて言ってニヤついてる田中くんはそそくさと席に戻ってしまった。



思考回路どうなってるんだ…この人。



「ちょっと、どういうつもり？」

「何が？」



平然とした顔で答えられ、言葉を失う。





……一体なんなの。






「A大丈夫？気分悪い？」




席に戻るとみんな帰り支度を始めていた。


レイナが私に駆け寄って心配そうな表情を見せる。



「あぁ……うん、大丈夫」



大丈夫じゃないよ！めちゃくちゃ気分悪い！！



「タクシー呼ぶ？私着いていこうか？」



あぁ、なんて優しいんだ。

そうしてくれ！頼む…あいつから逃げさせて……。



なんて思ったのに。




「さぁ、帰ろうか。Aさん」

「えっ……」



え、本当に私のこと送ってく気なの？



再び私の側に戻ってきた松村くん。

田中くんも一緒だ。



そうだ、4人で……。

レイナと田中くんも一緒に……。



「ちょっとレイナ！こいつらそーゆー感じだから、察しろよ」

「え！そうなの！？」



…………ちーがーうー！！！



「Aさんちょっと体調悪いみたいだからさ、心配だし」

「いや、あの……」

「俺に任せて？」




そう言って私の肩を優しく抱く松村くん。



任せられるか！！

こいつ！息を吐くかのように嘘ついてるよ！怖すぎる！



ぽわわわーんってしてるレイナの目。


違う！騙されてる！こいつの本性はそんなんじゃない！



助けて！と叫びたいところだけど、爽やか過ぎるとしか思えない松村くんの微笑みに皆が騙されていて。



そのまま結局流されて、松村くんと一緒に店を出ることになってしまった。









あぁ、私はーーー……。




とんでもない相手を敵に回してしまったのかもしれない。









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