元カレが結婚しました！

０２：一目惚れなんて ページ2

.







一目惚れ…なんてものは、存在しないと思っていた。



高校に入学してすぐ。

履き慣れないローファーのせいで靴擦れを起こして、駅のベンチで靴を脱いで休憩していた私に話しかけてきたのが大我だった。





◇
◇
◇



「足痛いの？」

「えっ…」



いつの間にかえげつないイケメンが目の前に。



しかも見覚えがある顔だった。



「あ！入学式で先生に前髪注意されてた人！」



入学式の日に、いかにも新品です！って制服を身に纏ってウキウキしながら体育館へ向かう途中。



廊下で先生に前髪をピッて軽く引っ張られている生徒を見掛けた。



しかもめちゃくちゃ怖そうな先生だった。ラグビー部とかの顧問してそうな、ゴリゴリなタイプの。ゴリラみたいな先生。



触んないで貰えます？とかって言い返してなかったっけ…この人。



「なに、見てたの？」

「いや…見てたというか見えたというか……」



だって目立ってたし。


ていうか、この状況。


めちゃくちゃ恥ずかしくない？私。



私が使っている駅は、学校からだいぶ距離があるところで。



いわゆる通勤ラッシュと呼ばれる時間にも全く混んでいない田舎の駅。



だからって完全に気を抜いてベンチで靴を脱いで座ってるなんて。

女子として終わりじゃない？



「なに、急に慌てて」



慌てて体勢を整えて靴を履き直すと、蔑むような目で見られた。

屈辱。



「ローファー慣れてないんでしょ。これ使ったら？」



そう言って差し出されたのはカットバン。
なんで持ってるんだろう……女子力高すぎない？



「ほら、靴下脱ぎなって。血出てんの？」

「ちょ……本当に大丈夫だから…」

「暴れないでよ」



ジタバタしてる私を見て笑ってる。



「自分で貼れる？俺、貼ってあげよっか？」



結局ほぼ強制的にカットバンを押し付けられてしぶしぶ受け取った私に、冗談ぽくそんなことを言ってくる。



あどけない笑顔を見せる彼に……心を奪われた、なんて。

少女漫画の主人公が言いそうなセリフ。



まさか自分がそんな風に誰かを好きになるなんて思っていなかった。






.

０３：お礼→←０１：失恋

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す