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「卒業しちゃったね」
2人の帰り道。
あーあ、と声を漏らすAの手を握る。
「どうしたの?堅治」
「俺さ、幸せだったよ」
立ち止まって出た言葉にAは驚きの色を隠せない。
「お前といれた3年間、楽しかったし幸せだった」
いつもなら恥ずかしくて言えない言葉も今はスラスラと目を見て言える。
___ 最後だから?
…そんなの知らねえよ。
「3年間、マネージャーとして支えてくれてありがとう。同級生として支えてくれてありがとう。
…彼女として支えてくれてありがとう」
格好悪いくらい涙声になる。
けど、俺の言葉は止まらない。
「Aはどう思ってるかわかんねえけど、Aが東京に行っても、」
「え?待って?何言ってんの?」
目を真ん丸にしAに話を遮られる。
「いや、Aが東京に言っても俺は、」
「…私、東京行くの?」
「…は?行かねえの?」
彼女はケラケラ笑い始めた。
「行かないよ!急に何言い出すのかと思ったら!」
「えっ、じゃあ、大学は?」
「あれ、私、堅治と同じ大学行くって言わなかったっけ?」
「…は?」
聞いてない。
突然の告白に頭が真っ白になる。
「知ってると思ってた。学部は違うけど、それなりに頭良いところ入るためにめっちゃ勉強したんだから!」
何より、堅治居るしね。
なんて笑うAがあまりに愛おしくて、強く抱き締める。
「ちょ、堅治、苦しい、」
「俺もっと苦しかったんだから我慢しろ」
彼女に見えないように流した一筋の涙は、卒業の寂しさ故か、それとも、
「これからもそばにいてくれな、A」
- END -
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作者名:カナ子 | 作成日時:2019年4月22日 23時