MELT AWAY【WT】 (ページ7)

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✧夕月夜の教会ページ7

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夕陽に照らされる通学路を歩き、一旦家に帰る。
カバンを勉強机の上に置いて、服を着替える。
大きめの襟のブラウスと、膝下丈で黒色のサスペンダースカート。
使い魔から貰った魔導書で埋まった本棚から数冊厳選し丁寧にサッチェルバッグに入れる。
バッグを背負い、再び家を出る。

徒歩圏内とは言いつつ、少し離れているのが厄介だ。
いつもならテレポートを使って教会まで行くのだが、
魔力の切れた今、そんな事出来ない。仕方ないが歩くしか手段はない。
確か徒歩30分、しばらくこんなことになってなかったこともあり心底面倒くさい。

………

何とか教会の目の前まで着いたが、腕時計で確認したところ現在七時二十分。50分掛かっている。
そりゃあどこかの人狼さんのせいで1週間教会に引き籠ってたし、
その1週間全く外に出てなかったし…
体力は少なからず落ちてるだろうと思っていたがまさかここまでとは思わなかった。
確かにいつも一食で十分なのに学校で栄養不足になったな。

教会の扉を開け、中を見回す。中には誰も見当たらない。
もう殆ど廃墟と化した教会は、今や誰も来ないような森の奥にひっそりと佇んでいる。
外観と内装には気を遣っているようだが、
こんな場所に教会があるなんて知ってる人の方が少ないだろう。無意味だ。

1番近くのチャーチチェアに座る。
広々とした空間に、私の足音だけがこだまする。
カトリック教のはずなのに十字架はどこにも見当たらないのは、
もうここが教会では無いことの証明だ。
ならばこの建物は何のためにあるのか。
それは簡単で、私達のような本当は居場所がない化け物を受け入れるためだ。
実際私はここに居場所があると言う事実で救われたことだって何度もある。

魔力が無いせいなのか、ぼーっとする。
家に居たって魔法使いとして生まれた事を考えるだけだ。
ここに居れば、今の自分をちゃんと見ることができるようで、不思議な気持ちになる。

sm「…生きてますかー？」
「ぅ、ん」
sm「魔力切れか、手ｪ出せ」

朦朧とし始めた意識の中、使い魔であるスマイルに話しかけられた。
言われた通り手を出すと両手で握られて、魔力を注がれる。
視界がハッキリしてきて、自然と背筋が伸びる。
スマイルの方に目をやると、いつもは隠しているはずの羽が背中から見えた。

「…隠す気ないじゃん」
sm「もう知ってるんだろ、隠したって意味がない」

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