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✧紛れ込む異常 ページ36




目が覚める。2階の、ベットの上だった。
いつも魔力が切れたときは雑にチャーチチェアに座らされるだけだったのに…
それくらいこのベットで寝かせるの嫌がってたけど…いつもこっちで寝かせてくれればいいのにな。
……イザベラが…自分の中に居るんだ。
見えたり聞こえたりしてるのに動けないってもどかしいな…

「…あ、あ。」

自分の声。大丈夫…

自身の体が自分の意思で動かせる事を確認していると、
階段からマグカップとクッキーがのったお盆を持ってきりやんが現れた。

kr「A…?大丈夫?」
「うん…平気」

笑顔を張り付けてそう言う。正直、全く平気ではなかった。
今まで自分にとっての普通の人生を生きていたのに、自分の中にずっと何かが潜んでいた。
それがついに私の体を乗っ取り、私はそれをどうすることもできずに…ただただ怖かった。

kr「…怖かったでしょ」
「……すごく。」

上手く笑顔にできてる自信がなかった。
わがままだけど、察してほしかっただけだった。

kr「そんな頑張ったAにココアを持ってきたんだけどー?飲める?」
「…うん」

そう言ってあたたかいココアが入ったマグカップを私に握らせる。
ココアのあたたかさで冷えた指先を自覚させる。

kr「そうだよなぁ…怖かったよな…」
「…自分じゃない誰かが、自分のフリして生きてるみたいで…怖かった」

両手に持たされたマグカップに目線を落としそう告げた途端、
暖かな雰囲気に包まれた部屋に冷気が吹き込む。

kr「……」

きりやんだった、微笑んでいたはずの顔が冷たく俯いている。

「きりやん?」
kr「なんかもう…早く取り除いてあげたいんだけどさ…」

パッと、はにかみながら目線を落とす。
そしてベットの端に腕を組み、覚悟したように目線を上げる。

kr「取り除いあとの事を聞きたいんだ。Aはどうしたい?
 …イザベラは君の体内にいる、殺すも生かすもAにしか決められない。」
「イザベラ=(イコール)私だから、勝手に殺せないんだ…?」


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作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:白月 | 作成日時:2024年1月5日 13時

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