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逃げ場を失い、これからどうなるか…いや、どうするかを考える。
鍵を閉め終わったスマイルの右手は、肩へ戻らず私の右頬へ_
「…ッ」
冷たい、そりゃそうだスマイルだ。
反射的に目を閉じ、顔を背ける。
sm「…かわい」
「ぇ」
昨日と同じ声のトーン。
そう思ってパッと顔をあげて見れば、いつも通りのスマイルが笑顔で_
違う。どこかおかしい、恍惚としたような…
悪寒がした。
いつもの冷たいけれど確かに暖かい空気を纏うスマイルがどこにも居ない。
怖い。
sm「…A、こっちみてよ」
手に力が入っているのか、魔力が流れてくる。
冷たかった手が熱を帯びて、嫌な暖かさが頬を撫でる。
そして、私の中に入りきらない魔力が私の体温を上げていく。
「ッスマイル、魔力が」
sm「はっ、その
教会の中に流れる隙間風が冷たく足元を通る。
「ね、ちょっ、スマイル!」
自分の声すらうるさく感じる。
蝋燭のひかりが眩しい。
なんの感情からか わからないなみだが頬をつたう。
しんぞうの おとが脳まで響く。
あつい
「あっ…すま、いる…ッ」
風の音、呼吸の音、?
sm「A、可愛い」
ひびく
「ハッ、それやだっ…」
sm「こっち見て」
顎を…__目が合う
『き、きのうの、スマイルにもどって!!』
sm「っ!?」
取り込んだ魔力が半分以上溶けていく。
自分の固有魔法を知り尽くしたと思っていたが、
ここまで魔力を消費する言霊が存在するとは思わなかった。
肩を押さえつけていた手がするりと落ちる。
sm「…A…?」
「ッ怖かった!」
sm「ご、ごめん…うおっ」
スマイルに抱きつく。
「…もう魔導書解読するのやめよ?ね?」
sm「や、あの、断れない…んですけど…」
気持ちが落ち着くまで、体温を感じていた。
普段の、いつものスマイルが、何よりも暖かい。
sm「ど…どうしたら良い?」
「…もうちょっとこのままが良い」
sm「…寝る?」
「……教会に泊まる」
sm「飴いる?」
「うん」
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作者名:白月 | 作成日時:2024年1月5日 13時