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きんときに助けを求めるように目線を送るが、平和な光景を見るように微笑み返されるだけだった。
平和だけど、平和だけど…!
br「…今日、あんまり一緒に居られなかったじゃん、だから…ちょっとぐらい…ね?」
耳元で、囁かれる。
普段甘やかしてくるくせにこういう時は甘え上手
…ずるいな、そういうのに弱いこと知ってるって感じで。
「…ずるい」
br「んーありがとう、ぇ?」
ぶるーくの頭を左手で撫でた瞬間、驚いたのか変な声が出る。
変なことしたみたいになるじゃん、やめろ甘えたいって言ったのそっちだろ。
意識がその事に行ったのか、右腕にかかっていた魔法が切れて動くようになる。
しかし本人はその事に気がついていないのか相変わらず体重を私に掛けている。
右腕を後ろについて、なんとか耐えるがぶるーくは気づく素振りを見せない。
「ぶるーくさーん魔法切れましたけど…」
その言葉で気がついたのか、バッと私から離れ距離を置く。
後退りしていく顔は赤く、背中に柵に当たった瞬間私に向かって叫ぶ。
br「〜っ、Aの方がずるいじゃん!」
「はぁ?」
br「だっていつもそんな僕のこと甘やかさないのに!」
「あー…んーっと、えーっと今日はちょっと…愛に飢えてるっていうか…」
br「えっち!!!!」
「は…はぁぁあ!?!?」
珍しく声を荒げ何を言うかと思えばそんなっ…!
ベランダの柵を飛び越え、落ちる。
後を追うように柵に手をつけぶるーくを目線で追う。
深夜の街の上空を、白い翼を広げ飛んで逃げるように帰っていくのが見えた。
街の人に見られる事を考えていないような堂々とした飛び方が、焦っているのを物語っていた。
「な、何あいつ…」
kn「くははっ、珍しいねあんなぶるーく」
変わらず月を眺めるように柵の上に座っているきんときが
ぶるーくを目で追ったまま私と目を合わせずにそう言う。
「そんな変だったかな…?」
kn「俺も変だと思ってたけどね、何かあったの?」
「えあぁいや、何も無いけど…今日はなんか…」
何かあったと聞かれれば何も無かったけど、今日は何か気分が…おかしいのだ。
いつも思わなような事を考えるし…なんと言うか寂しい…と言うか…
月を向いていた体が、私の方へ向く。
kn「…教会でも言ってたね、“愛に飢えてる”」
「……自分は1人じゃ無いけど、自分は愛されてるって事にはならないなって…」
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作者名:白月 | 作成日時:2024年1月5日 13時