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なかむ先生は妖怪や神話などそう言った類の物が好きらしく、私たちに興味津々なように見える。
一度、魔法使いという事を信じてもらうために先生の要望で箒に乗って飛んでみたのだが、
その時も成人男性とは思えぬ輝いた瞳だったのを覚えてる。
教卓で資料と睨めっこしている先生と、
参考書を目の前に退屈そうにペンを回していたシャークんが一斉にこちらを見て笑いかける。
na「おはよ、A、いやこんにちは」
sha「おっす」
「こんちわー」
sha「1週間も休んで何してたんだよ、珍しいじゃん」
保健室中央のシャークんが半分陣取っている机の上に鞄を置き、いつもと同じ席に腰掛ける。
「あーまぁ聞かれたから答えるけど、1週間前は満月だったよ」
鞄から読もうと思って持って来た読みかけの本を取り出し、シャークんの方を見ながらそう言う。
少しの間唖然とし、意味がわかるとだんだん俯いてしまった。
sha「いや、あの、ほんとごめん」
「全然大丈夫、揶揄っただけ」
読みかけのページを捲り、行を目で追っていく。
シャークんがバッと顔を上げてこちらを見たのが視界の端に見えた。
座っているパイプ椅子に体重を預けたのかギギギと鈍い音が鳴る。
sha「んだよ……俺のせいかと思って焦ったわ」
「…まぁ疲れたのは本当だけどね」
sha「…そういうことは目見て言わないでくんね……」
つい笑いが溢れる。
マスク越しでも声が漏れたようで、シャークんもつられて笑う。
na「A、今日はちゃんと朝ごはん食べた?」
「?うん、食べたよ。なんで?」
na「ほんとに?」
「え、うん」
後ろ側の教卓からの質問に答えた後、
なかむ先生は少し考えるような素振りを見せてから私をじっと見つめ、もう一つ質問を投げる。
na「朝ごはんと昼ごはん兼用してない?」
「…………した」
sha「おぉいちゃんと食ってこいよ」
シャークんはさっきとは打って変わって意地悪な笑顔でこちらを見ている。
私は魔力を栄養にしているからあんまり食事は必要ないのだが、
いつ魔力を使うか分からないからとこう言われている。
起きる時間が遅いからしょうがないだろう……
やっぱり、と呟いたなかむ先生は、椅子に座っている私の横の席に座り、
片手で私の頬を掴んで無理やり目を合わせて言った。
na「魔法使いとか関係無く、Aは女の子でしょ?早寝早起き朝ごはん、ちゃんとしてよね。」
「ゔー……」
na「微妙な返事……」
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作者名:白月 | 作成日時:2024年1月5日 13時