✧未明の客人 ページ19
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……
…
ガタンッ!
「い゙っ、た…」
痛みで完全に眠気が覚めてしまった。
久しぶりにテレポートを使ったせいか、変な場所に出てしまった。暗いせいでどこかわからない。
…?膝の上に何か乗ってる…本?魔導書か…ってことは自宅か、なら良かった。
一安心して靴を脱ぎ、手を伸ばして壁を探す。
ガンッ
「いてっ」
本棚だ。ってことは自室…
壁と脳内のマップを頼りにリビングへ向かう。
リビングはベランダから入る月光のおかげで明るいし、
このマンションのこの部屋は夜行性にとってもなかなかいい部屋だ。
大きめのリビングは一人暮らしの私にとっては確かに持て余しているが、
時々先生やきりやんも来るし結果としては丁度いいサイズと言えるだろう。
リビングの玄関側にトイレとキッチンがあり、その向かいにお風呂だ。
リビングから入れる2つの扉は、そのお風呂と寝室兼魔導書置き場。
リビングに入ったときにひんやりとした風が頬を撫でる。
カーテンが靡いている、ベランダへと続く窓が開いている証拠だ。
カーテンには2人の影が映っており、ベランダの柵に腰掛けている人影と、凭れている人影。
玄関に靴を置きベランダへ向かう。カーテンを開くと冷たい風が大きく髪を揺らす。
br「わぁAちゃんおかえり」
kn「おかえりなさい」
「ただいまー」
ベランダの内側で柵に凭れていたのがぶるーくで、月を見るように柵に腰掛けていたのがきんときだった。
微笑んで向かい入れてくれるがそもそもここは我が家だ。
まぁ今に始まったことじゃない。ベランダの鍵が空いてるのももう良いよ。
この2人は悪魔と天使という敵対関係にも関わらず仲良さそうにしている。
聞いたことはあるのだが、互いに利益があるとか、こいつだけは信用できるとか曖昧な理由しか話してくれない。
仲がいいのに越したことはないのだが、この2人は裏がありそうで怖い。
「なに話してたの?」
kn「待って、なにそのブレスレット?」
br「は、え?銀製じゃん、しかも…」
2人が私の右腕についた、さっきスマイルから貰ったバングルを指摘する。
…理由とかこの2人に言えるわけなんてないけど…どうしようか。
br「見せて、これ…これさぁ」
目線を合わせるために片膝をついたぶるーくにぐいっと腕を引っ張られ、まじまじとバングルを見つめる。
引っ張られたせいで、魔力を使ったばかりの体はベランダの床にへたり込む。
スマイルの名前でも書いてあるのだろうか、悪魔って本当に厄介だな。
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作者名:白月 | 作成日時:2024年1月5日 13時