守りたい人 ~Blue~ ページ1
坂本side
これから昔ばなしをしよう。
なに、誰に聞かせるかって?
誰にでもないさ。俺が大切にしたい思い出ってだけ。
〜〜〜
彼女との出会いなんて覚えていない。それほどに自然に俺の生活の中に溶け込んでいた。
小学校に上がる前からいつも一緒に外で遊んでいた。俺より3つ年上の君は、いじめっ子に泣かされる俺をいつだって守ってくれた。
ヒーローみたいな君を密かに好きだと思っていた。なんて絶対に誰にも言わなかったけれど。
それから小学生になったっていつも一緒に遊んでいた。学校が終わると1番に俺の教室にやって来て「まさくん!かえろ!」と俺の手を引く君は俺には似合わないほど眩しかった。
けれど君が中学3年生になるとだんだんと会うことは少なくなっていった。仕方ない。受験生なのだ。小学6年生の俺は勉強の邪魔にならないように1人を選んだ。
俺が中学1年生になった頃、君も高校1年生になったと聞いた。
「Aちゃん、合格したんだって!」
そう教えてくれたのは母さんだった。
この辺で1番頭のいいところよ!と興奮したように話す母親を見て、複雑な気持ちになった。
俺とは違う世界に行ってしまった、って。
素直に喜べない自分にも腹が立って君に会いに行くこともしなかった。それから会うことはなくなった。
近くに住んでいるはずなのに、全然会えなくなってしまった君を思い出すこともしだいに減って、特に変わりのない毎日を送っていた。
俺も中学3年生になり、本格的に進路を考え始めた。夢とか希望とかそんなの持ち合わせていなかった俺は家から近い男子校に決めた。
高校生になってそこそこの日々を過ごし、いざ次の進路、と考えたとき俺は何も思いつかなかった。中学生の頃と何も変わっていない。
結局進路を考えることから逃げた俺が選んだのは芸能界だった。突拍子もないと思われるかもしれないがそのときの俺は確かに本気だった。
運良く事務所に入れて、らしくないアイドルなんかをやり始めて、長い時間はかかったけれどようやくデビューを掴み取った。
そこで出会った仲間はかけがえのないもので。
ぶつかることだってあったけど、今だって一緒にグループを続ける最高の仲間だ。
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作者名:それ | 作成日時:2020年12月19日 16時