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Aside


優雅に朝ごはんを食べる前に、うちの両親のことを少しだけ話さなくちゃいけない。


うちは共働きで、お母さんは研究室勤め、お父さんは外科医。


2人とも理系なのに、なぜか私には理系の才能は無いということを、ここ最近実感した。


ちなみにハルは理系だ。もはや、ハルの方がうちの子なのかもしれないと、たまに真剣に考える。


ちょっと前にそれを言ったら、軽くこづかれて「ばーか」と言われた。


相も変わらず口が悪い。だけど、ホントは優しいってことを私は知っている。


なんかもう、それだけで十分だと思うんだ。


さて、急いで朝ごはんを食べ終えると、ハルと学校へ行く準備をする。


現在8時10分、タイムリミットまであと20分。


前髪を整えたり、寝癖を直したり。


『ハルー、寝癖直すやつかしてー!』


「…はぁ、いい加減自分の買えよ」


悪態づきながらもちゃんと貸してくれるあたり、やっぱりハルは優しいと思う。


『ハルってけっこう優しいよね、けっこう』


「けっこうを強調すんな。”いっつも優しい“だろ?」


はいきたどや顔ー。だがしかし顔が良い。生意気なのも許容できるレベルに。


『はいはいいつもありがとー』


「棒読みすぎて感謝の欠片も感じないんだわ」


ハルの声をスルーして、ヘアオイルをつける。


うん、これくらいかな。髪からふわっとキンモクセイの匂いが香る。


「つぅか、なんでお前自分の買わねぇの?」


『だってハルの髪いい匂いするもん。おそろいイヤ?』


前は服とかお揃いだったのに。時の流れは早いのう。(誰)


「ばっ、お前、ホント馬鹿っ!!」


あ、顔真っ赤。


『え〜もしかしてハル照れてる〜?』


「うるせぇ!」


ハルはいわゆるツンデレだと思う。


「て、てかっ!俺ら遅れんぞ!!」


『んぇ?え、嘘でしょっ?!』


時計の針はぴったり8時27分を示している。タイムリミットまで、あと3分。

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作者名:不思議の国のマッドハッター | 作成日時:2023年8月23日 21時

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