film46 分析する ページ49
✤
それぞれが不安と期待を胸に抱く中、後半戦が始まろうとしていた。
猫のように鋭く目を細め、フィールドを見渡していたAだったが、帝国選手達のスパイクが、先程のように再び光出したのに気付く。
(やっぱり、後半にかけてきたわね。影山零治…)
雷門ボールからのスタート。ボールを奪おうと走り出した帝国だったが、足元の変化に気づき、驚いたように声を上げた。
｢足が軽い！｣
｢これならいける！｣
前半とうって変わり、今はまるで足に羽が生えたかのように軽く感じる。
いつも以上に、スピードの出ることを、心の片隅で疑問に感じながらも、兆しの見えてきた帝国は、弾んだ声で意気込むと、あっという間に、道成を取り囲んだ。
「急になんだ!?」
囲まれてしまった道成のフォローにまわろうと、味方達は駆けつけようとするが、足がもつれて上手く走れそうにない。
自身の体が意志に追いついていないことを自覚していない彼等は、戸惑った顔をしている。
「影山監督にしてやられましたね。敵の動きが鈍いことに付け込み、張り切ったせいで必要以上に動きすぎました。」
相も変わらずゲームに精を出しながら、監督は冷静に状況を分析する。
「ちゃんと見てたんですね？」
監督の見後な分析につくしは、くちをぽかんと開き、意外そうに彼を見つめる。てっきり、ゲームに夢中で、試合の事など見ていないと思っていたのだ。
「敵の術中にハマり、こっちはスタミナ切れ寸前。これはピンチですねぇ。」
「そんな、他人事みたいに！」
監督のあまりに責任感のない言葉に杏奈は、らしくもなく感情的な声で批判する。
｢恐らく彼等は、前半飛ばしすぎた自覚はないわ。
雷門の長所は臨機応変に対応出来ること……けど、冷静さをかいた今の彼等にはまだ分からないわ｣
Aは、開いていたタブレットを閉じると、監督に続けて、ひょうひょうとした声で現実を告げる。
あまりに塩対応な2人に、杏奈とつくしは顔を見合わせると、不安げに互いの瞳を見つめ合う。
｢監督。ゲームに集中し過ぎですよ｣
試合が始まってから、ずっとゲームに夢中の監督に、Aが呆れ顔で釘を刺せば、つくしと杏奈の視線も自然2人の方へと向けられる。
｢イージーモードでやればいいのに……｣
わざわざ難しいハードモードをプレイしている監督に、杏奈は億劫そうにつぶやいた。
「でも･･･人生にイージーモードはないんですよ？」
意味深な監督の言葉に、何故か微笑を浮かべたAの横顔を見つめ、杏奈とつくしは首を傾げるのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シロナ(プロフ) - 愛音さん» リクエストありがとうございます！水神矢くんは、対王帝戦の前後で、雪乃ちゃんを精神的に支えます。絡みは、少し先のお話で予定しているので、お待ちいただければ幸いです！ (2019年3月20日 22時) (
レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 水神矢成龍くんとの絡みをお願いします。 (2019年3月20日 21時) (レス) id: 95fbe585e8 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - あんさん» あんさん、リクエストありがとうございます。鬼道さんとは、星章対王帝の試合で沢山絡ませる予定です！せっかくの幼なじみ設定なので、日常での絡みも増やしたいと思っています(*´艸`) (2019年3月20日 11時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
あん - 鬼道さんとの絡みをお願いします。(￣^￣ゞ (2019年3月20日 10時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sirona | 作成日時：2019年2月28日 20時
