film11 大丈夫 ページ12
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顔を上げれば、今1番会いたくなかった人物が、そこに平然と立っていた。
腰に手を当て、口元に微かな笑みを浮かべる彼に、Aは思わず掠れた声で名前を呼んだ。
｢のさかくん……来てたんだね｣
｢ああ、少し興味があってね。腕大丈夫かい？｣
｢え……｣
顎に手を当てたまま、目線だけでAの右腕をそれとなく示す野坂に、Aは動揺したのかライトブルーの瞳を大きく見開いてしまう。
｢まだ、痛むんだろう？｣
｢え、ええ。でも、大丈夫よ｣
少し心配そうに悲しそうに目を細めて言う野坂に、Aは戸惑い気味に返事をするが、誤魔化すように笑うと目を逸らした。
何も写していない……はずなのに。野坂の瞳に一瞬影が過ぎった気がして。上手く言えないが、何だか野坂の瞳がいつもと違う気がしてならない。
ーこの人は自分と同い年なはずなのに。まだ、子供のはずなのに世の中に絶望したような酷く悲しい目をしているー
哀しげに自分を見下ろす野坂の瞳から目が逸らせなくて、Aは潤んだ瞳のまま野坂を見つめる。
大丈夫。そう言っても、まだ心配そうな顔をしているから。困った笑みを浮かべると、Aは目を細めて、野坂を安心させるように優しく言った。
｢本当に大丈夫だよ？心配しないで？｣
真っ白な野坂の頬を両手で包み込んで、Aが囁けば、野坂は瞳を大きく見開くと、彼女の華奢な体を強く腕の中に抱きしめた。
あまりに、突然で彼らしくもなくて。
驚きと動揺で固まってしまう。
口が思うように動かなくて、声が出そうにない。
ああ、今日は何でこんなにも身体が言うことを聞いてくれないのだろうな。フリーズしている体とは対象的に、脳内では冷静に状況を理解している自分もいて。
きっと、それは自分を抱きしめる野坂の腕が酷く震えていたからだろう。
寒さに凍えるうさぎのように身体を震わせる野坂を突き放す気にもなれなくて、Aは彼の腕の中に抱かれたまま、そっと彼のシャツをキュッと握りしめた。
｢！？｣
今まで身動きひとつしなかったAの些細な行動に気づいた野坂は、一瞬驚きで息を呑むが、更に強い力で彼女を抱きしめた。
ーもし、この腕を離したら。Aが何処かに行ってしまうような気がしてー
それ程、目の前で平然と笑ってみせた彼女の笑顔はあまりに儚くて、哀しかった。
ほんの少し触れてしまえば崩れる砂の城のように。
｢頼むから……そんな辛そうな顔で笑わないでくれ……｣
｢え……｣
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シロナ(プロフ) - 愛音さん» リクエストありがとうございます！水神矢くんは、対王帝戦の前後で、雪乃ちゃんを精神的に支えます。絡みは、少し先のお話で予定しているので、お待ちいただければ幸いです！ (2019年3月20日 22時) (
レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 水神矢成龍くんとの絡みをお願いします。 (2019年3月20日 21時) (レス) id: 95fbe585e8 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - あんさん» あんさん、リクエストありがとうございます。鬼道さんとは、星章対王帝の試合で沢山絡ませる予定です！せっかくの幼なじみ設定なので、日常での絡みも増やしたいと思っています(*´艸`) (2019年3月20日 11時) (レス) id: 02fecad83b (このIDを非表示/違反報告)
あん - 鬼道さんとの絡みをお願いします。(￣^￣ゞ (2019年3月20日 10時) (レス) id: 8ea3c89cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sirona | 作成日時：2019年2月28日 20時
