月日の苑【鬼滅の刃】 (ページ35)

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なんか爆速で断っちゃってすみません。でも今日は私のステージなんでページ35

参拾四。

「なんで！！」

　背後から一人の声が響いた。たぶんおじさん。あんなに仲睦まじかったのになんで！と言いたげだ。いや、ちょっとそれはねぇ

「‥‥‥」
「――‥‥少女よ、理由を聞いても良いか」

　遠い目をしながらズズッとお茶を一口飲んでいると、ポンと表情の読めないひょっとこ面で固まっている風鈴さんの肩に手を置いて、静かに鉄穴森さんが私に問うた

　――突然だけど、この時代においては付き合うという事、お付き合いする＝後に結婚である。この時代ではお見合いが大半だし、下町でも近所の付き合いでゆくゆくは結婚かーと大体は流れ作業なことが殆どで、この式が出来上がるのである

　別にそれぐらいのことは私もこの世に生まれた人間であるし、なんら不思議には思っていない。むしろ、私的に風鈴さんは有り寄りの有りだ

　では、何故か

　風鈴さんが悪いわけではない。頑固そうで面倒くさい性格をしているが話してて面白いし、なにより堅実そうだ。‥‥全然大歓迎なのだが、それはできない

――出会って三日目だから？

　否

――風鈴さんの事を何も知らないから？

　否

　全て悪いのは私の方である
　私は鬼で、風鈴さんは人間だ。彼は鬼殺隊の刀鍛冶で、私は鬼だ。寿命が違ければ、罪の重さも違う、そもそも相いれない存在であり、共存は不可能と言わしめられた対照的な二人。なにが駄目なのかと聞かれたらこのことに尽き、これで直ぐに納得できる

　つまり、結婚は(・)無理だ

「――うーん、風鈴さんの事を何も知らないからかな」

　これは当たり前のことだが、私が鬼であることを明かすわけにはいかない。だが、ここで交友関係を失うには惜しすぎる

「それは後々知って行けばよかろう」
「‥一目ぼれ、ってことになるのかな。それでも、出会って三日だし」
「‥‥それが“一目ぼれ”というやつだろう。私から見ても二人は悪くなさそうだったぞ？」
「うん、それはね、私もそう思う」
「？では、何故」

　鉄穴森さんは私ののらりくらりとした返答に本気で不思議がる。完全に本人とおじさんは蚊帳の外。空気だ

「結婚したくない理由があるからかな」
「‥‥理由」

　ここで風鈴さんが復唱する。あ、復活したね。よかったよ。ここからが最大の見せ場って云うか、私の大立ち回り？演技？見どころだからねー。見てくれなきゃ困る。折角、色々頑張って考えてきたんだから
　「風鈴さんたちはさ、」と口を開く

「――鬼殺隊って、知ってる？」