月日の苑【鬼滅の刃】 (ページ31)

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自分で言ってて訳わからなくなるときってあるよね。それが今ページ31

参拾。

「えーっと、美味しくないみたらしはみたらしじゃないから、風鈴さんは常に美味しいみたらしっていう(その)ものを食べてるのであって、美味いものだけを食っているわけではないと」

　わけわからんと思いながらも必死に言葉にしてみる。うん。言葉にしてもわけわからん

「その通り！」
「うわ、めんどくさ」

　めんどくさおじさんだー。年齢知らないけどめんどくさい人この上ない。なんでこのヒトと出合っちゃったかな‥‥。第一村人との邂逅に失敗してるよ

「めんどくさいとか言うな！」
「いや、言うよ。よく言われるでしょめんどくさいとか、こだわり強すぎるとか、付いていけないとか」
「‥‥‥」

　はっきりと言うと風鈴さんはわかりやすく――それはもうわかりやすく――ずーんと暗雲を背に背負い、なのになぜか憤慨したように雷を落とした

「図星でしょ」
「‥‥‥」

　それは「はい」って言っているようなものだよ。風鈴さん

「やー、本当に可愛いなー、風鈴さんはー」
「何処がだ！」

　沈黙から一転、憤慨したように毛を逆立たせる風鈴さん。そーいうとこだよ、風鈴さん

「えー、すぐ拗ねるとことかー、ツンデレなとことかー、割と単純なとことかー」
「‥‥止めろ」
「え？」
「止めろっ」
「？‥‥‥うわー。顔真っ赤」
「言うな！」

　え？と顔を横に向けてみると、それはもう茹蛸のように顔を真っ赤にした風鈴さんが‥‥。ひょっとこお面なのに。赤いのに
　‥‥‥えーっと？これは、‥‥照れてるってことでよろしいんだろうか。風鈴さん、顔真っ赤だし、口から湯気吹いてるし、かと思えば憤慨したように小刻みに震えてるし。うーん、風鈴さんが風鈴さんだけに判定(ジャッジ)が難しい。個人的には照れてる方に賭けたいが――何故って？そっちのほうが希少(レア)だし、面白いから――私が今言った言葉は悪い点としか取られかねないので怒ってる方なのでは‥‥？難しい。人の心って難しい。そう、難しいんだよなぁ
　切実に助けが欲しいと思いながら周囲を見回してみると、店の戸口から団子のように嘉瀬成ってこちらの様子を覗き見る怪しいひょっとこ面とおじさんが――

「――あれ？どうしたの、おじさん。‥‥風鈴さんが増殖した？」

　風鈴さんは気付いた様子は無いので、ととと駆け寄ってみるとあわわわと二人は焦ったように立ち上がったり走ったりで結局どーんとお互いにぶつかって倒れた。あれま