月日の苑【鬼滅の刃】 (ページ2)

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私にナチュラル産猪又は狐狸を素手でハントするようなガッツは無いはずページ2

弐。

「うーん、ここが確実に山だという然して重大でもない発見は置いておいて、どうしたものか」

　ここで、冒頭に逆戻り。結局は「どうしたものか」に行きつくという事ですね。理解

「‥‥‥静か」

　心細くなったわけではない。只々、静かだなと。不自然だなと私は思ったわけです。さわさわと微かな風に揺れる草木の音は聞こえるものの、獣の嘶き、遠吠え、蹄の音、人間がいた痕跡。その他諸々が綺麗に無く、正に人っ子一人いないような静かさ。まるで、誰も彼もが消えてしまったかのような―――

ポチャンッ

「――ッ」

　水音。水滴が落ちたような音
　びくりと身を強張らせれば、特に人がいたというわけでもなかった。なんだ残念。だが、今の音はどこから？視線をただ横に動く出すだけじゃなく、上にも下にも動かしてみる

「‥‥‥？

　なんじゃこりゃ
　すっと一瞬の内に見えた人の横顔のようなもの。うん？と動きを止め、よーく見ると、

　――ん？」

　これは、なんだろう
　非常に小さな水たまり。ようは水鏡。かろうじて顔の一部が見えるような小ささでも、月光のおかげかはっきりと見える。そういえば、“私”の造形をしっかりと確認していなかったなと興味本位でのぞけば、見えたのは、

「これは‥‥角？」

　角だ
　この写っているのは私で良いんだよなと言う確認も込めて、ぺたりと角があるのであろう場所へぺたりと手を這う
　‥‥すべすべだ。鹿の角とも違う、なんか綺麗に研磨した歯？みたいなつるつるさ。これは‥‥ずっと触ってたくなるすべすべだ

「おぉー‥‥‥」

　しばらく己の角をナデナデしていたら、口元にべったりと水のような粘度を持ったものが付着していることに気付く

「なんだこれ？」

　今まで全く気付かなかった。あぁ、水たまりに落ちたのはコレか。なるほど理解
　それはそうとして、これは血？口元に手を当てるとぺちゃりと音が鳴る。暗くてよく色がわからない。貴重な光源である月光で見ようと色々角度を変えてなんとか色が判明。うん

「血だね」

　真っ赤な証拠ですね。あ、「真っ赤な嘘」だっけ？まぁ、どっちでもいいけど、なんで私の口元に血が？なんかよく見たら来てる着物もなんか濡れてない？これも血？うわー、獣肉を生でくらった記憶とか無いんですけど‥‥。というか、いくら道に迷った(？)からといって私も獣を素手で獲るような勇気は無いよね？ ‥‥無いよね？？ ―――道に迷った挙句血迷っちゃった？