月日の苑【鬼滅の刃】 (ページ1)

今日:11 hit、昨日:7 hit、合計:6,186 hit

急募：記憶喪失患者(疑い)を安全な場所まで連れて行く方法ページ1

壱。

「どうしよー‥‥」

　はい私です。――名前とかわかんないんで“私”です。御理解の程宜しく
　今は道の端っこに寄って黄昏乍ら、其処らの小石を脇に投げてます。わー、なんか画に描いたような黄昏方(かた)ー。とまぁ、リラックスの限りを尽くしているのはパニックになるより全然良いと思うんですが、ここ、真夜中の山なんですよね。――開けた視界にちらりと月のようなものが見えるし。これってヤバいやつだよねー。真夜中の山っていろいろやりたい放題じゃん。それこそ、人殺したりとか人殺したりとか人埋めたりとか。いやね、流石にないと思いますよ？大して可愛いくもない造形の私ですし。――人の美醜とかわからない。ここには私しかいないので
　あー、今は、あくまで人の例です。流石の私でもここら一体にイキモノが居ないとは言いませんとも。それこそ、夜になってお盛んになった凶暴なドウブツとか。現在進行形でイキモノでドウブツな私がここに一体いますしね？

「はぁ、困ったな。‥‥全く危機感が湧かない」

　ここまでべらべらときもちよーく独り語りをしてきましたけども、ここって山ん中なんですよね(念押し)。はい。お解かり？結構怖いとこなんですよ？山の中って。遠く彼方の海の次ぐらいに。――海が一番なのは知らないから。どんなとこなのか全く想像がつかないから
　んでね、そんなこわーいとこである山(真夜中ver.)に現在進行形で一人ぼっちな訳なんです。怖いねぇ。なーのに、危機感が全く沸かないんです。どうしたらいいんでしょ。こーゆーのって危機感在りすぎる方が安全に行くやつですよね。よくわからないけど

コツンコツン

「――静かだなー」

　投げた小石が石にあたって軽く響く。私の呟く声とこの音以外何も聞こえないぐらい静かだ

「あ、」

　と、ここで気付きを一つ。ぺらっぺらよく回る口(頭)を使ってたけど、意外と覚えてることあるんだなって。山は怖いっていうまるで洗脳の如き教えやら、山のあれこれとか。ふーむ、じゃあ今の所、私が忘れてることって土地勘、ここまでの経緯、この体(私)の記憶ってとこなのかしラ？

「――イブキジャコウソウ、シライトソウ、ヒメシャガ。あ、あっちには月見草がある」

　ぽいぽいっと伸び腐っている雑草を引っこ抜けば、沢山の山野草たち。今あげたのはどれも６月前後で咲くものだ。だからたぶん今は６月なんだろう。それにしては寒くないが、その前に詳しすぎんか？私