凪君といざこざ 2 ページ22
19.
「ふぅ‥‥」
親子にしては堅苦しい会話を真顔ですばやく終えた灯鶴は疲労感露わに、椅子へ座る
「父親‥?」
凪は灯鶴の会話にただならなさを感じ取ったのか、父なのかと直接的に訊ねる
ここで婉曲的に訊ねないのが凪
「えぇ、」
灯鶴は疲れたのか椅子に深く座りこみ、言葉少なく答える
「俺の名前が聞こえたんですケド」
「あぁ‥‥。ごめんなさい、過保護になりすぎる家族が、今の私の交友関係を調べたみたいなの」
「へー‥」
かなりのプライバシー侵害に当たる行為だが、凪は――自分で聞いたのにもかかわらず――興味薄そうに返す
それに灯鶴は多少なりとも危機感を抱いたのか、説教まがいのお説教をし始める
「凪君、加害者側がこういうことを言うのは違うと思うけど、あなたはもう少し自分の周りに気を払った方が良いわ」
「加害者って‥‥灯鶴ががやったわけじゃないんでしょ?」
「‥‥そうだけど、私がきっかけな訳だから‥‥!‥」
「別に危害がないなら、どうでもいい」
いや、危害が無くても気にしなさいよ、と生活力危機感のなさに思わずキャラも忘れてツッコミをしそうになったが、一つの驚きにぐっとこらえる
私の名前を言った‥‥?
「‥‥うそでしょ‥」
「で、どうすんの? やめる?」
「は?」
突然の凪の言葉に余韻に浸る間もなく、一瞬で現実に引き戻される
感動などではなく、あぁ、
「‥‥‥‥‥なぜ?」
問われている意味が解らない
意味が解らなくて、違う意味で呆然とする
「なぜって‥、言われたんでしょ? おとーさんに」
「‥‥‥」
「離れろってさー。別に俺はどうでもいいけど。面倒だし」
意味が解らない
凪君はなんで逆にそう問われているのかわからないというような顔で言う
「は?」
「‥‥コワ。マジトーンやめて」
「やめる? 離れる?
おかしいわ。私がいつ、どこで、そんなことを私の口から言ったのかしら」
「え、」
「おかしいわね、まったく記憶にないわ
あぁ、もしかしてついに頭がイカれてしまったのかしら。残念ね。私、こんなに若くてぴちぴちだから、耳がイカれるわけはないと思ってたんだけど」
静かに、されど坦々と紡がれる怒りをたたえた瞳と言葉に、凪はぽっかーんとまぬけ顔をさらすしかない
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慣慣(プロフ) - ハッカ油さん» 更新の励みになります!有難う御座います! (5月7日 11時) (レス) id: 85e2cd63aa (このIDを非表示/違反報告)
ハッカ油(プロフ) - 灯鶴ちゃん,めっっっちゃ好きです…!お話凄い面白いのでこれからも頑張ってください!! (5月6日 23時) (レス) id: ed28ee640c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:潮見 不可 | 作成日時:2023年1月22日 0時