アジトにて ページ30
２９．
「‥‥残りはお前らか‥‥‥」
ジトっとした目で灰谷兄弟を見る、マンジロー
「めっちゃ、不満そう」
「ｗ オレらじゃ不満〜？」
「‥‥霧璃歌にアジトの案内をしろ」
「は〜い」
「了解」
重い雰囲気だったのに、かなり軽い指示だ
(拍子抜けってやつ？)
「よろしく〜灰谷兄弟」
「う〜ん。硬いな〜キリューちゃん。名前で呼んで♡」
「灰谷蘭と灰谷竜胆」
「「そういうことじゃない」」
霧璃歌が快く要望に応えると
なぜか真顔で声をそろえて言う灰谷兄弟
(私にとってはそういう事なんだけどな〜。‥解せぬ)
「じゃ、行こうか〜。案内、よろしく〜」
「流された」
「流されちゃったな」
「また後でね〜マンジロー」
「ん」
霧璃歌はマンジローに手をふりふり。春千夜にも手を振っておいた
しっかりバッグを持ってグダグダしている灰谷兄弟を置いて、扉にむかう
(う〜ん。めっちゃ嫌な顔して無視された‥。千夜ちゃん、君さ、ひどくない？)
「おい、オレたち置いてくと迷子になるぞ」
「ちゃんと三人で行こーぜ。キリューちゃん」
置いて行かれた灰谷兄弟だが、スタスタと先を歩く霧璃歌にすぐ追い付く
(足、長いな〜。うらやま)
「ありがと〜」
扉を開けてしっかりエスコートされる霧璃歌。にっこり笑ってお礼を言う
「どういたしまして〜」
その流れで腰に手を回されるがとりあえず、無視
邪魔になったら蹴る。と思考は一段落する
(手慣れてるな)
「んじゃ、この階の説明からいくか」
「お〜」
「よろしく〜」
グイッと近づかれる
(どうしよ、もうすでに邪魔になってきた)
「さっきの部屋は見てわかる通り、会議室な。んで、この隣が控室
このアジトは６階から幹部しか使えないようになってるから気を付けろよ〜、キリューちゃん？全然、キリューちゃんには関係ねえ話だけド。あ、でも、オレたちに近い、側近？ 腹心は別な
あと６階から下、行くとき気を付けろよ〜。うちの構成員、野蛮だからな」
「男ばっかだからな。銃持ちだされるかも。パッと見、関係者で幹部だとは思わねえだろ」
「そーそー。慣れるまで、そうだな‥‥一か月くらいは
「オッケー」
(う〜ん。またまた、拍子抜け。思ったより私は受け入れられているらしい
まだまだ油断は出来ないけど〜。とにかく、６階から下に気を付ければ良し)
霧璃歌に行き当たりばったりの自覚はちゃんとあったらしい
〈不安な案内人〉
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：潮見 不可 | 作成日時：2022年8月16日 17時
