修羅場と付いていけない展開 ２ ページ18
１７．
「てゆーかよぉ、ヤク中。お前ホントに何も知らねえの？お前らも〜」
「なんだ、蘭。気になるのか？」
「別に〜？」
「‥‥知らねェ」
「だとよ、蘭」
「ふーん‥」
ざわざわ
ふいに外が騒がしくなる
「‥うるせえな」
「あ〜、来たのか？」
「噂をすればなんとやら、だな」
春千夜を筆頭に、軽く会話をして席を立つ
ガチャ
「「「「お疲れ様です」」」」
面々はペタペタとサンダルを鳴らして入ってきた白い、小さな影に丁寧に頭を下げる
「マイキー、お疲れ様です」
「‥‥‥座れ」
マイキーは上座の黒い革張りの席に座る
春千夜はマイキーの言葉に従い、他のメンバーも順に席に座っていく
だが、春千夜は続けて入ってきた小さい影に目を見張り、再び立ち上がることになる
「こんにちは〜。あ、千夜ちゃ〜ん。よっ！」 ひらひら
・・・・・・・
マンジローの近くに立った霧璃歌は、１０年ぶりの再会とは思えない気軽さで春千夜に手を振る
霧璃歌を見た者の反応は様々
「は！？」
「？」
「あれ〜、オンナノコ？」
「呼び出された理由はあいつか‥‥？」
「どういうことだ？」
「‥‥‥」
ある者は驚き、ある者は不思議そうに、そして困惑した
それをマイキーは沈黙で制す
一方、春千夜‥‥
「‥‥‥」
「ヤク中どした？」
先ほど驚愕の表情から打って変わって、静かに霧璃歌を睨みつけている
「‥‥紹介する、高千穂霧璃歌。新入りだ」
「どうも〜」
マンジローの紹介に春千夜を含む幹部連中は驚きを隠せない
対して霧璃歌は呑気に「久しぶり、千夜ちゃん」とマイペースに笑いかける
その言葉に春千夜は無言で返すが、霧璃歌を見つめるその緑色の瞳の奥には変わらず強い憤りがある
「‥‥テメェ、高千穂。なぜ、ここにいる‥‥？」
「あ〜、お知り合いな感じ？」
「兄ちゃん、黙って」
ゆっくりと霧璃歌へ歩みを進める春千夜
その手にはいつのまにか黒い拳銃が握られている
幹部連中はただならぬ雰囲気をまとう春千夜に静観を決め込むようだ
「あれぇ〜、私、殺されちゃう？今日が命日になっちゃう感じ？」
重い緊張感がただよう会議室
そんな中でも霧璃歌は笑顔を絶やさず、ニコニコとふざけたようなことを言う
「うるせェ黙れ。そもそもテメエ、女だったのか？ ‥‥いや、それは後回しだ
答えろ、桐生高千穂
お前なぜ、ここにいる？」
〈修羅場 ２〉
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作者名：潮見 不可 | 作成日時：2022年8月16日 17時
