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「昔、施設の2階にある部屋に三面鏡が置いてあった」
夜の廃工場。
オンボロの室内には、使いやすいようにソファやらタンスやらが並べられており野郎共の秘密基地となっていた。
その中で、イザナがソファに寝転んで話し始めた。
その周りには天竺幹部(ムーチョ除く)が集まっており、各々好き勝手にやっていた。
そんな中で、クッションを抱きしめてボーとしていた蘭が「お、タイショーの怪談?」と興味を持った。
斑目の近くにいたリンドーはゲと顔を顰め、望月はコーラを傾け、話を聞く為にお菓子を広げた。
イザナは巻き込まれやすい体質であった。
幽霊とか、そういうものに好かれやすい男であった。
なのでそういう話を馬鹿みたいに持っているし、思い出したようにその話を突然始める天竺の稲川淳二であった。
話し始めたイザナは止まらない。
最後まで話さないと気持ちが悪いらしい。なので周りの野郎共はまた始まったわとイソイソと聞く体勢に入るのである。
「確かにそこには三面鏡があんのに、先生も施設の誰もがそこには何も無いよと不思議そうに俺を見てた。これはあまり触れない方がいいなって思ってからは、俺はその三面鏡のある部屋に近付かないようにしてた」
細雨の振る日のことであった。
イザナが工作に使うハサミを取りに3階にある自室に向かおうとしていた時である。3階に行く為にはあの三面鏡のある部屋の前を通らなければいけない。
2階の廊下にはイザナ以外、誰もいない。
早く取りに行こう。
イザナはサラサラと雨の音が響く廊下を小走りで進んだ。
あの部屋の前を通り過ぎようとした時であった。コンコンと部屋の中からドアを叩く音がしたのである。
イザナは思わずその場に立ち止まった。
三面鏡のある部屋は、物置部屋のような扱いをしている場所であった。まず施設の子供が入る事はない。
じゃあ先生?
いや、先生は全員1階でガキ共の世話をしていた。
トントン、と音は続く。
じゃあ、この扉の先にいるのは一体誰なのだろう。
イザナは背中を撫でる寒気にピクリと反応すると、気味が悪いと3階にある自室へと向かったのである。
無事にハサミをもって1階へと帰ろうとした時、イザナは「あ」と動きを止めた。
先程、確かに閉ざされていたあの部屋の扉が僅かに空いていたのだ。
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月野 - この手の話、今まで無かったので新鮮でした!とても面白かったです!!更新楽しみにしています! (2022年10月6日 2時) (レス) @page19 id: dccd327fc0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 軍時さん» まじですか?ありがとうございます!! (2022年9月25日 22時) (レス) id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 武道可愛いですねw。空になったペットボトルまだ持ってるなんて…。竜胆は武道になにをあげるんだろう。気になります!斑目の設定考えた主さんが天才すぎる!! (2022年9月25日 22時) (レス) @page19 id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 特殊な訓練を受けている彼らだからこそ出来る対処法なので実際には…です笑なのでたけみっちがペットボトルをブンブン!と降っても除霊は出来ないことになりますね、かわいいですね🌼楽しいと思って貰えてとても嬉しいです🥰コメントありがとうございました! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 大丈夫ですよ〜!ゆっくりにはなりますが更新頑張りますね💪 (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月13日 11時