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それから数日後
いつも行く店がセールをしており、前々から欲しかったものが買えて嬉しい三ツ谷はフンフンと鼻歌を歌いながら歩いていた。早く帰ろう。そう思って近道のある方に歩を進めると前から顔を青くした男子中学生が走ってきた。




中学生はやばいやばいといった様子で何かから逃げているような様子である。何かあるのだろうか。少し考えた三ツ谷だが特に興味もないのでそのまま中学生の来た方に向かう。公園の前に差し掛かった時、あぁこれかとスゥと目を閉じた。暗くなった視界の中で一考し覚悟を決めて公園へと足を踏み入れたのである。



「だーから何でいきなり現れた知らねぇ奴にグチグチ言われなきゃなんねぇの」
「それはコッチのセリフだから。いきなり可愛い妹に彼氏が出来たとか聞かされた俺の身にもなれよ?」
「知らねぇよ」



公園の砂場の中でバチバチと睨み合っている友人を見つけた三ツ谷はため息を零した。何で砂場の中なの。何で灰谷兄がいんの。てか何で場地は玩具のスコップ持ってんの。疑問ばっかである。三ツ谷はやっぱ関わりたくねぇと思いながらも「何してんだ」と砂場の中の二人に声を掛けた。



こちらに気がついた場地が少し顔を緩め「おー!三ツ谷」と玩具のスコップをブンブンと振り回した。その隣にいる灰谷は「あ?」と機嫌が悪そうにこちらを見やる。若干眩しそうに眉を顰めるので三ツ谷は眩しいんかとその場に屈んだ。


「いきなりコイツがAの彼氏とかぬかしてる奴お前?って絡んできたんだわ」
「わざわざ探してきたんすか灰谷兄が」
「妹の彼氏とかぬかしてる奴の顔拝みにきたんだよこっちは。じゃなきゃこんなとこ来ねぇよ」
「だとよ」
「うわ、めんど」
「は?可愛い妹に彼氏出来たら顔ぐらい見んだろ。てか男の方が来るのが普通だかんな?」
「まぁ、確かにそれは分かるけど」
「だろ?」
「お前はどっちの味方なんだよ三ツ谷」
「妹を持つから灰谷の気持ちは分かる。だから俺は強く言えねーんだ、頑張れ場地」
「まじで何しに来たんだお前」
「好奇心」
「猫かお前は」
「死にはしねーよ別に」


三ツ谷は持っていたビニール袋を端に置くと場地の横に座りチマチマと砂で遊び始めた。完全に観客である。

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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月5日 20時

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