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「誰だよバジ」
「一番隊隊長さん」
「へー、何でそんな奴とAが繋がるわけ?」
「その」
「?」
「か、彼氏、なの」
「え?」
「私の、好きな人でね。今お付き合いさせて貰ってる人なの」



ポポと赤くなる女を少し口を開けながら眺めていた竜胆は「は?」と空気が抜けたような声を出した。流れるようにチラと三ツ谷を見つめる。三ツ谷は何故か少し嬉しそうに「マジだよ」と答えた。



竜胆は三ツ谷を見て、女を見て、空を見上げ、もう一度女を見る。そして「まじかぁ……」と嫌そうに顔を顰めたのである。これに三ツ谷、若干の違和感を感じた。



何でコイツがそんなに嫌そうなわけ?と竜胆のツムジを見つめ様子を伺う。
竜胆はサイダーをベンチに置くと、両手を組みフと笑うのだ。


「あの約束は嘘だったわけ」
「?」
「小さい頃俺と結婚する!って言ってたのは嘘なの、A」
「お」



何言ってんだお前。三ツ谷は思わず竜胆を2度見する。女は「?」と不思議そうにしていたので余計に竜胆の頭が可笑しくなったのかもしれない。しかし直ぐに女が何かを思い出したように「小さい頃だったからナシよ」とかわゆく笑うので ア、頭イカれてなかったと少し安堵した。しかし聞き捨てならぬ事になってしまった。



「俺の背中に引っ付いて結婚するもんって泣いてたじゃん」
「小さい頃よ」
「兄貴にじゃあ俺と結婚しようよって言われても、ヤ!りんどーくんがいいって言ってたじゃんか!!」
「小さい頃よ」
「結婚するのか、俺以外の奴と」
「うん」
「ク、これが全世界のお父さんの気持ち…!」



何故か辛そうな竜胆と女のコントを見た三ツ谷はガサガサと持っていたビニール袋からコーラを取り出しフーンと思いながら飲んだ。一方通行って訳。あの六本木のカリスマさんが笑 何だか誇らしかった。カリスマに勝ってるような気がして。

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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月5日 20時

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