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○
「追うぞ」
「うん、だから追うって何するの」
あれから花垣は千冬に呼び出された。
面倒臭いな。だけど場地くんの彼女は気になる。
花垣はお家にいたい気持ちと見たい好奇心にグラグラと揺れながらも何とか靴を履き、お外に出たのである。
追うっていったら、尾行だろ。
キリとカッコイイ顔で千冬は懐からサングラスを取り出した。「ほら」と花垣の分までくれたので、思わず「?」と千冬とサングラスを二度見した。
「なんでサングラス持ってる、」
「あー!場地さんが動いた。行くぞたけみっち!」
「あ、おう」
花垣、サングラスの謎は解けなかった。
とりあえず二人はサングラスをかけると場地カップルに見つからないようにコソコソと跡を付けたのである。
「後ろから見た感じだと普通そうな人だな」
「あの場地さんの彼女だぞ?きっと腹が減ったら自転車に火をつけるとか邪魔くせぇからって適当なハサミで髪を切り出したりするくらいクレイジーな筈だ」
千冬の中の場地くんの彼女って第二の場地くんなのかな。だとしたら凶悪カップル過ぎるので花垣は少し距離を置きたい所だが。
花垣はうんと優しく返事をした。
興奮する千冬を否定しない、いい子である。
ちなみに千冬は手を繋いでチマチマと歩く甘々な二人をガン見中だ。
最近できたクレープ屋さんに2人でいき、近くの公園のベンチでモクモクと談笑しながらクレープを食べる。
その後二人でボンヤリしていると公園で番を張ってるお猫様の登場である。
お猫様はニャと猫らしかぬ野太い鳴き声を出しながら女の足に戯れた。
女はウフウフと猫を可愛がり、場地もキラキラとした目でお猫様を可愛がる。
「え、可愛すぎて推し」
この間、ずっと尾行していた千冬は右手で口元を覆いながらキュと眉を潜めた。
胸がキュンキュンする。
場地カップルがカワユイのである。
花垣は先程買ったクレープをモクモクと食べていた。
ちなみに千冬の手にもクレープがある。
「千冬ぅ。ずっと尾行してないでそろそろ挨拶いこう。俺疲れたし」
「待って!待ってくれたけみっち!まだ心の準備が出来てないから待って!」
もう行ったろと二人の元に向かおうとした花垣を千冬は焦って止めた。
2人がモチャモチャと「いく!」「まだ!」と騒いでいた時である。
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月5日 20時