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場地と女は、ズルズルと延長線のようにこの関係を保ってきた。
小学高学年になった。
ランドセルは草臥れて新品さをなくし、高学年に相応しい形になっていた。
場地はこの頃、幼なじみのマイキー事万次郎の紹介で他校の奴らとつるむようになった。
学校が終わると直ぐに集合場所に行くのが日常となっていたのだ。
さぁ、今日も向かおうとしていた時だ。
女の姿が見えた。
複数人の女に囲まれて、何やら雰囲気がピリピリと感じの悪い様子であった。
場地は「あー」と声を出す。
またアイツは厄介に巻き込まれているのだ。
場地は走り出す。女達は人から隠れるように校舎の影にいた。
隠れてでしか出来ないのならやらなきゃいいのに。
女特有の甲高い声で、なにやら一方的に女を言い募っている。
アイツはやっぱり、下を向いているだけだった。
「何してんだよ」
女たちは一斉に現れた場地を見た。
お化けでも見たような反応だった。
もう一度「何してんだ」と尋ねる。
不機嫌そうな声であった。
そうすると、女達は蒼い顔をして「場地くん違うの」と何故か場地に訴えてくるではないか。
何を弁解しようとしているのか。
この現状を?やましい事をしていないなら堂々としていればいいのに。
やましい事をしている自覚があるから、女たちは狼狽しているのではないのか。
「散れよ」
「え、」
「散れっつってんだよ」
場地がヒト睨みすると、女達は顔を蒼くして蜘蛛の子を散らすようにその場からいなくなった。
残ったのは涙を溜める女だけ。
場地はゆっくりと女に近づいた。
「何で助けを呼ばねぇんだ。俺がいなかったらどうするつもりだったんだよ」
「……」
「なぁ、聞いてんのかよ」
またお得意の黙りか。舌打ちをする。
「サッサと帰れよ」と口早に言うと、場地は歩き出した。女がついてくる気配はない。
やはり場地はこの泣き虫女が苦手だった。
何がしたいのかが全く分からない。
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月5日 20時