放り込まないでもらえます？【H×H】

6話　一次試験開始 ページ7

受験者全員が、音の発生源に目を向ける


そこには、くるんと巻かれた口髭に、中心分けの髪の毛、ビシッとスーツを着こなした男性がいた

彼は、紐についた絶妙に気味の悪いアラームを持っている


ほぉーん？一次試験の試験官はサトツさんか…

じいちゃん絡みで一回話したことあるだけだけど、いい人そうだった記憶がある


アラームを止めたサトツさんは、その姿勢のまま受験者全員に向けて声を発した


「ただ今をもって、受け付け時間を終了致します。では、これよりハンター試験を開始したします」


その言葉に、会場の空気が張り詰める。ついに始まってしまうのか……


サトツさんによると、今のうちならきた時に乗ったエレベーターにのれば帰れるらしい


しかし、ここまで来た人は皆本気なんだろう。帰ろうとする人の気配は全くない

そりゃみんなはそうだろうけどさ、私は帰りたいよ？だれか一緒に帰らない？


うっわー集団心理で帰れねー…帰りてー…


「では、どうぞこちらへ」


そう言ったサトツさんは、一度だけ私たちの方を見据えた後、広くて分岐のない道を手で示す

そして、私たちに背を向けたままその果てしなく続く一本道をゆっくりと進み始めた


「絨毯君、リュック君、歩くよ」


私も、2人に声をかけてその道を進み始める。この2つは物質だから“2人”は可笑しいって？

自我があるからね、これは人と同等の生物なのだよ



サトツさんは、歩きながらも試験を受ける際の注意事項等を話しながら先頭を歩いていく



「申し遅れましたが私、一次試験官担当のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内致します」


段々と、歩くスピードが上がり始め、今や走りとなってサトツさんは私たちを先導する

二次試験会場へ案内…ということは、一次試験はもう始まってるのか？


「二次試験会場まで私についてくること。これが一次試験でございます」


っかー…マジかぁ…走るの嫌だなぁ


私がそう思ったその時、隣で何かが倒れるような音がした

隣を見れば、先程まで一緒に走っていたはずのリュック君がいない

恐る恐る後ろを振り返るとーーー

「…り、リュックゥゥーーッ！」


いた、リュック君が倒れていた。

私が入れたチョコロボ君が重かったのだろうか。なにせリュック君の中には、大量のチョコロボくんがぎゅうぎゅうに詰められているのだから


急いでリュック君を起こし、無事を確認する


が、こんな沢山のチョコロボくんが詰まっていたら思うように走れないだろう。仕方ない…


「絨毯君、私たちのこと運んでくれ！」

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