恋愛なんてしたくない。【黒】 (ページ20)

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「まさか同じマンションだなんて…」

『いや俺の方がパニックなんだけど』

「全然良くない」

『そこは喜べよ』

マンションに入って、エレベーターのボタンを押す。

さすがに階までは違ったらしい。

｢…今日、ありがとうね、色々｣

『いいえ～いつでも聞くから』

2人で乗り込んだエレベーターは
翔太くんの声がはっきり届く

「今度なんかお礼するよ」

『そんなのいいから、その代わり、』

「ん？」

『少し充電させて』

そう言うと後ろから抱きしめられた

「え、どうしたの？」

『ん～充電だって、心の』

これがお礼になっているのなら、無理に解くことはできない。

優しい言葉をくれて

ふにゃっとした笑顔で笑ってくれる翔太くんは

お兄ちゃんみたいな落ち着く存在。

それなのにどこか可愛くて

なんでも許せてしまう自分がいた

エレベーターが着くまでの間、

私は翔太くんの匂いに包まれていた。