恋愛なんてしたくない。【黒】 (ページ19)

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接客をしながらも、
頭の中はこの前の記憶がぐるぐるしていた。

“俺のことちゃんと意識して″

その言葉が頭から離れない。

閉店間際でお客さんがまばらになった頃

ガチャッ

｢いらっしゃませ～…ってあれ、｣

『よっ』

「翔太くん！久しぶり！」

最近は忙しいからか、Snow Manのメンバーがお店に来ることはなくて

すごく久しぶりな感じがした。

『元気だった？』

「元気だった！翔太くんは最近忙しい？」

『映画の撮影があったから割と。でもクランクアップしたから会いに来たわけよ』

｢そっか～お疲れ様！｣

『ありがと。Aちゃんお店終わってから時間ある？』

｢あるけど、どうしたの？｣

『飯食い行かね？』

｢あ、うん、いいよ！｣

｢どうしたの？急に誘ってくれるなんて｣

レストランで食事をしながら聞いてみる

『いや、普通に話したくなったから』

「そっか笑」

『Aちゃん彼氏とかいないの？』

唐突に始まる恋愛話。

あまり自分の話はしたくないんだけどなぁ。

「いたらここにいないわ笑」

『だよな笑』

「私、怖いんだ～恋愛するの」

『怖い？』

「誰かと想いが通じあってもね、いつも最後には取り残されて、1人でしんどくなって……それなら初めから好きにならなければいいんだって思って、」

顔を上げると
真剣だけど、どこか切なそうな翔太くんがいて

「ご、ごめん！！暗くなっちゃった！」

なに話してんだ私。

親友以外に話したことのない過去を
すらすらと翔太くんに話せた自分に驚いた。

『もったいないね』

「え？」

『Aの魅力に気づかないとか、そいつらもったいないことしてんなと思って」

「いや、そんなこと…」

『AはAのままでいいじゃん。無理に頑張ろうとしなくていいんだよ。ありのままを好きになってくれる人が絶対いるから」

翔太くんの言葉ひとつひとつがちゃんと胸に入ってきた。

「翔太くん、ありがとう」

『俺いいこと言っちゃった？』

「ふ、その一言が余計です笑」

『ふははっ』

お店を出ると、家まで送ると言って聞かない翔太くん。

お言葉に甘えて車に乗せてもらう。

マンションの場所を伝えると
車を走らせながら、翔太くんは不思議そうな顔をした。

「あ、ありがとう！私の家ここの5階！」

迷わずに到着してくれた翔太くんにお礼を言う

『…え？俺もここ住んでんだけど』

「は！？」