恋愛なんてしたくない。【黒】 (ページ16)

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蓮《ご飯食べに行かない？》

昨日突然来たメッセージ。

承諾の返信をすると、すぐにお店の場所と時間を送ってくれた。

何から何まで蓮くんは完璧だなぁ

男性と2人で食事をすること自体久しぶりなのに、それがあのイケメンだなんて。

なんだか無駄に緊張する。

その日は

持っている服の中で1番可愛いものを着て、
普段は上げている髪を下ろして巻いてみた。

なんか私気合い入れすぎ？

着いたよ、とメッセージを送って

お店の前で待っていると

『A、ごめん待った？』

息を切らしながら蓮くんが走ってきた。

「ううん！私もさっき来たとこ」

『よかった、じゃあ入ろっか』

蓮くんが予約してくれたのはお洒落な個室の居酒屋さんだった。

｢ん～すごく美味しい！｣

『ほんと？良かった笑』

すると急に視線を感じる

｢え、なに、なんか顔についてる？｣

『今日の雰囲気いつもと違う』

｢え、あぁ、少し気合い入れすぎたかな？笑｣

『んーん、めっちゃ可愛い』

｢…あ、ありがとう｣

蓮くんの言葉はいつもストレートすぎてドキッとしてしまう。

でもきっと蓮くんにとっては言い慣れてる言葉

いちいち意識してはいけない、分かってる。

お店をでると

｢雨……すごい｣

『やばいなこれ』

止みそうにない大粒の雨

どうしよう、ここにずっといることもできないし…

そこで私はひとつの案を思いついた。

｢私の家なら近いし、雨宿りしてく？｣

『え？』

「あ、ごめん嫌だったら全然いいんだけど！このままここにいるよりは、と思って」

やば、なんか変な空気になった？

『俺行ってもいいの？』

「え、うん、来てもいいですよ…？」

『なんで急に敬語なんだよ笑』

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『おじゃましまーす』

「そこら辺、適当に座ってて！」

どうしよう、自分で言っておいて緊張している。

よく考えたら何してんだ私。

思いつきで言ったけど、
家に誘うって普通に考えたら結構やばくない？

『ねぇA』

キッチンでお茶を入れる私を呼ぶ声がした

｢ん？なに？｣

『こっち来て』

お茶をテーブルに置いて蓮くんの隣に座ってみる。

「どーしたの？」

突然ぐいっと腕を引っ張られ

気づいたら私は

蓮くんの腕の中にいた。