恋愛なんてしたくない。【黒】 (ページ12)

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ふっかさんの意味深な発言を聞いてから

俺はますます焦っちゃって

｢はぁ、何してんだろまじで｣

今日は事務所の方に用なんかないのに。

気づいたら足はそこに向かっていた。

閉店時間に合わせていくとか、

俺やばいやつじゃん。

少し…少し待ってみるだけ。

５分ほど経った時、

ドアが開いた気配がした。

やばい、今さらだけど何を話せばいい？

必死に頭を回転させていると、

『目黒……さん？』

バレた。いや別に隠れてないけど。

少しでも長く話したくて

俺が店に来たと勘違いしている彼女に

一緒に帰らないかと誘ってみた。

『あ、じゃあ、お言葉に甘えて…』

断られなくて良かった、、。

他愛もない会話をしながらずっと感じていた違和感。

敬語を外してくれたことが嬉しくて
調子に乗ってみた。

｢目黒さんってやめて？｣

『え、じゃあ目黒くん？』

いや、それじゃそんなに変わってないじゃん。

｢もう一歩近づいて｣

名前で呼んでよ、俺のこと。

『……蓮くん？』

思わず手で顔を隠す。

やばい、思ってたよりもやばい。

心臓がギュッと掴まれた感覚。

自分で求めたくせに。

そんな俺を心配して

どうしたの？と聞いてくる彼女は

またいつもの上目遣い。

埋まることの無い身長差は、

ただ彼女の可愛さを引き立てるだけ。

そんな俺をよそに、彼女はひたすら会話を楽しんでいる感じ。

全く意識されてねえな。

別にいい、これからだから。

それに

話の流れでサラッと聞けた連絡先。

Aは分かってないでしょ？

これが俺にとってどれだけ重要か。

ふっかさん

俺、本格的に頑張っちゃうわ。