蝶の姿【爆豪勝己】序章 (ページ16)

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私の行く道ページ16

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　混沌としたバーの中、一人の少年が混沌の中心

となる少女の元へと歩いて行った。少年が進む道を

拓くように少女の周りにいる蝶は部屋の隅々に

広がりヒーロー達と再び戦った。

一部の蝶は守るように二人を囲んだ。

少女は虚ろな目をして下を向いている。

「A」

　少年は少女の名を呼ぶ。

少女はその虚ろな瞳で少年の姿を捉えた。

そして独り言のように細々とこう言った。

「もう…わからないよ。人々を助けるヒーローは

私の仲間を傷つける…。私の仲間は罪なき人を傷つける。

たとえそれが、何かを為すためのものだとしても…。

何が正しいのか、わからないよ。」

　少女は貼り付けの笑顔を少年に向ける。

その顔は少女の心が壊れかけていることが

ひしひしと伝わってくるものだった。

　少年は少女の前に屈み込み目線を合わせ

両手で彼女の頬を包んだ。

「テメェは、どうしたい？」

　少女はこの問いに動揺した。今までずっと

後回しにして考えるのを避けていたのだ。

"自分の道"についてを。

「ココにいる意味、これから生きる未来、ヒーロー

とヴィラン…んなもん考えなくて良い。テメェが今

どうしたいかだ。」

「私は…」
　

　少女は少年から目を逸らし下を向いて

黙り込んでしまった。